みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。
今回は「油絵具の白の種類と違い」を紹介したいと思います。
画材屋さんで白を探そうとすると、油絵具コーナーにたくさんの白の種類がありますよね。
しかもメーカーによって「パーマネントホワイト」とか、何が使われてるのか、よくわからない名前もあります。
そこで今回は、色々な白い油絵具を使用してきた僕が
油絵具の白の種類とそれぞれの違い、
そして個人的にオススメできる白を紹介したいと思います。
それではよろしくお願いします。
シルバーホワイト
シルバーホワイト(PW1)は、古くからある最も重要な油絵具です。
日本語では鉛白(エンパク)と呼びます。
この油絵具のおかげで、西洋の油絵の発達が進んだと言っても過言ではありません。
これ以前は、そもそも白の油絵具がありませんでしたからね。
命名するなら「キングオブホワイト(白の王)」と言えます。
特徴として
- 暖かい白
- 穏やかな混色
- 乾燥を促進する
という3つの特徴があります。
また、このシルバーホワイトは少し気難しい油絵具なので、注意点があります。
暖かい白
後で紹介するチタニウムホワイトに比べて、温かい白になります。
少し黄色みがあるような色になります。
穏やかな被覆力(ひふくりょく)・混色
シルバーホワイトの2つ目の特徴「おだやかな被覆力・おだやかな混色」です。
被覆力(ひふくりょく)とは下の色を塗りつぶす力のことです。
この被覆力が穏やかなので、油絵のモチーフの微妙な立体感や陰影を描くのに向いています。
レンブラントの厚塗りとかで見られるように、
より目立たせて白くしたい場合、油絵具を厚塗りをすることでその効果を出すということもできます。
また、色を混ぜるときにも油絵具の色の微調整がしやすいです。
乾燥を促進する
シルバーホワイトの最も特徴的なのが、この乾燥を促進させる効果です。
油絵具に含まれている油が酸素と化合して固まる現象(酸化重合)を促進させるという効果は
他の白の油絵具にはない特徴です。
注意点
シルバーホワイトを使用した油絵具は、鉛を含んでいるので毒性があると言われています。
なので、ペットや小さいお子さんが間違えて誤飲しないように保管する必要があります。
また、混色の制限があるので、ここも注意が必要です。
例えば「ウルトラマリン」と「シルバーホワイト」の混色をすると、どんどんと青色がくすんでいくというものがあります。
「ウルトラマリンの病変」なんて呼ばれたりもします。
チタニウムホワイト
チタニウムホワイトはもっとも一般的に使用されている白の油絵具です。
この色を例えるなら「白いオオカミ」と言えます。
この油絵具の特徴として
- 白の油絵具のなかで最も白い
- 乾燥が遅い
- 強い被覆力
があります。
白の油絵具のなかで最も白い
この特徴がチタニウムホワイトを象徴する特徴ではないかと思います。
すべての白い油絵具の中で最も白いので、ハイライトや塗りつぶしなどをするときに使用します。
私もよく瞳のハイライトや、猫のひげなどに使用します。
乾燥が遅い
乾燥が遅いこともチタニウムホワイトの特徴です。
私の感覚としても、夏場でも最低3~4日かかります。
なので、もし油絵具でチタニウムホワイトを使用する場合、
5日くらいは乾燥させることが必要です。
デメリットに見えますが、
ペインティングオイル自体が乾燥が早いものも販売されていますし、
「ラピッドメディウム」というものも販売されているので、
そういうものでカバーできるのでそこまで問題にはならないかなと思います。
強い被覆力
チタニウムホワイトは、その白さゆえに、他の色をすぐに白くしてしまいます。
他の色を喰ってしまうと言われているくらい、すぐに白くなります。
実際混色するときの微調整が難しいので、ややコツがいります。
この特徴から、「ホワイトウルフ」の異名をつけたくなります。
ジンクホワイト
ジンクホワイトは日本語名「亜鉛華」と言われるものです。
この白の油絵具を例えるなら「ホワイトクイーン(白の女王)」と言えます。
ジンクホワイトの特徴として
- 青みがある
- 混色が美しい
- 上の絵具を滑り落とす
青みのある白
青みがあるため、美しい白になります。
混色が美しい
また、混色が美しいため、混色するときの白として使用します。
上の絵具を滑り落とす。
そして、ジンクホワイトの最大の特徴は
乾燥した後、上の絵具を滑り落とす性質があることです。
なので、下地や、中描きなどで使用はせず、上描きや最後のハイライト・混色に用います。
セラミックホワイト
セラミックホワイトは、優等生タイプの白い油絵具です。
ホワイト界のプリンスと言えます。
特徴として
- 陶器のような白さ
- 黄ばみにくい
- 高い安定性
が挙げられます。
陶器のような白さ
ホルベインの公式サイトでは、「最も青みが強く白が際立って美しい」と表現されています。
私自身も使用してみましたが、美しい陶器のような白さを持っています。
黄ばみにくい
また、油絵具にした場合、ホワイトは黄ばみが目立ちやすいですが、セラミックホワイトは黄ばみがあまり目立ちません。
高い安定性
これは、油絵具に使用されるセラミックホワイトが安定している物質だからです。
逆にこのような特徴があるので、乾燥速度が遅いということが挙げられます。
また他の白の油絵具と比べると若干高価なので、私の場合、最後の仕上げのホワイトとして使用します。
白い油絵具の種類まとめ
油絵具の種類の量が多くなったので表で整理しましょう。
色名 | 色味 | 透明性 | 特徴 |
シルバーホワイト | 温かみのある白 | やや透明 | 乾燥促進効果あり |
チタニウムホワイト | 最も白い白 | 不透明 | 圧倒的な白さ |
ジンクホワイト | 青みのある白 | 透明 | 上の色を滑り落とす |
セラミックホワイト | 青みが際立つ白 | やや透明 | 万能選手。やや高価 |
ほかにも「パーマネントホワイト」や「クイックドライングホワイト」などの油絵具があります。
その他の白い油絵具
パーマネントホワイト
パーマネントホワイトは、チタニウムホワイトと同じ顔料(PW6)を使用していますが、
こちらの方は、食べ過ぎるチタニウムホワイトの白を弱くしたものです。
SF,とかEXというラベルがありますが、
SFはポピーオイルという乾性油
EXはサフラワーオイルという乾性油を使用しています。
両方とも油絵具特有の黄変がしずらいものです。
クイック ドライング ホワイト
クイックドライングホワイトはホルベインさんから販売されている白い油絵具です。
クイックドライング、つまり早く乾くように設計された白の油絵具です。
チタニウムホワイト(PW6)と白亜(PW18)を混ぜたものです。
チタニウムホワイトは不透明で色をよく食べますが
白亜は、乾性油に入れると透明になるので、それらを混ぜると
透明感があるホワイトになります。
ファンデーションホワイト
油絵具でファンデーションホワイトというものがありますが、あれはシルバーホワイトと同じ顔料を使用していて、
キャンバスやパネルを真っ白にするためのホワイトです。
油絵具の【秘密のホワイトレシピ】
結局油絵具の白の種類は分かったけど、何がおすすめなの?
ということが言われるかもしれます。
私個人的にオススメしたいのは、
シルバーホワイト+チタニウムホワイトを混ぜたミックスホワイトです。
このミックスホワイトだとシルバーホワイトの特徴である
- 乾燥速度を速める
- やや透明
という効果が、チタニウムホワイトのデメリットである
- 白が強すぎる
- 乾燥速度が遅い
というデメリットを打ち消して、
乾燥速度がはやく、ちょうど良い白のききのよさという効果を発揮できます。
シルバーホワイトとチタニウムホワイトを1:1の割合で混ぜると大体いい感じの効きになります。
もし、これでも白が強すぎるなと思ったら、シルバーホワイトの割合を増やして、
油絵具の白の効きが悪いなと思ったら、チタニウムホワイトの割合を増やせばいいので、
自分好みにカスタムしやすいのでオススメする白い油絵具のホワイトレシピです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
白と言えば黒の存在も忘れてはいけません。
黒にも黒の法則があります。
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