絵の具で黒の作り方は3種類。混ぜる色と【秘密の法則】も紹介。

みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。

よく絵を描いていると、そのままの黒はだめだよ。

混色で作った黒の方が色の深みが違うよ。

などいろいろな人に言われたりします。

それに今手元に黒がない!というときもあります。

そんなときはそれ以外の色で黒を作る場合、

どのような色を組み合わせたらよいのでしょうか。

今回は混ぜる色と具体的な絵具の色を紹介していこうと思います。

今回は油絵具で説明しますが、

ほかのアクリル絵具、

水彩絵具でも十分価値のある応用の効く

記事ですので是非ご覧ください。

それではよろしくお願いします。

青・赤・黄色を混ぜ合わせる。

黒と言っても、完璧な黒ではなく、限りなく黒に近い色を混色によって作ります。

青・赤・黄色の三色の絵の具を混ぜるのは代表的な黒の作り方です。

この黒色の作り方のメリットは、

色合いをたくさん作れることです。

青の絵の具を多めに混ぜると、青よりの黒になりますし、

赤色絵具を多めに入れると赤よりの黒になります。

黄色絵具を多めに入れたときも黄色よりの黒になります。

具体的な絵具の色は下の三色です。

ウルトラマリン+アリザリンクリムソン+イエローオーカー

この三色の絵の具の組み合わせはかなり暗めの黒が作れます。

アリザリンクリムソンがない場合、

クリムソンレーキなどの色で代用できます。

また半透明の組み合わせなので、混色用にも最適です。

基本的には、青・赤・黄色の絵の具であれば、黒を作ることができます。

ほかにも青・赤・黄色の混色の仕方があります。

これよりもさらに効果的な黒の作り方を紹介します。

補色同士を組み合わせる

補色とは12色相環のうち、反対側にある色のことです。

12色相環とは、無限にある色を大まかに12色にまとめ、

それが一つの円になる様に配置したもののことです。

下の画像のように12色相環は置かれることがあり、補色はこのような関係にあります。

この黒の絵の具の作り方のメリットは、色のブレが少ないので、描きたいモチーフの色が決まっているときに便利です。

では具体的な色を紹介します。

補色の黒1:マゼンタ+緑

マゼンタ(または赤)の補色である緑を混ぜることで、影の色ができます。

リンゴやバラなど、赤い固有色(物体のもともと持つ色)のあるものに混ぜると、

赤の色合いに幅ができます。

補色の黒:青+黄色

形と色を直接描く技法であるアラプリマ技法の時や

黄色の固有色を持つ物体を描くとき

この補色の絵の具の混色で行うことが多いです。

例えば、レモンを描く場合、

レモンの光の当たるところに黄色を使った場合、

黄色の補色である、(青よりの)紫を黄色に混ぜることで、

自然な色の仕上がりになります。

これらの組み合わせより

もっと便利で使いやすい黒の作り方があります。

茶色と青を混ぜる

これは便利な黒の作り方です。

バーントアンバー+ウルトラマリン

この二色の組み合わせは、私の経験上最も使い勝手が良い

混色した黒色です。

黒が強すぎず、他との色の組み合わせにも対応しやすい万能選手です。

ウルトラマリンがなければ、プルシャンブルーなどの青色絵具でも代用できます。

私の場合、この組み合わせで作った黒と白で、グリザイユ画法を行ったりします。

【秘密の法則】黒色ができる原理

黒色ができる原理をここで解説したいと思います

黒色という色って、実は十二色相環を見ていくとよくわかります。

十二色相環ってまんなかにぽっかりと空白が開いていますよね。

実はこの真ん中に黒ができる秘密があります。

12色相環の中心に黒がある

黒の混色をするときは、この12色相環で新しく黒の存在を作る必要があります。

そこで今回覚えてほしいのは

「12色相環の中心に黒がある」

ということです。

個人的に「黒の法則」と呼んでいます。

これだけ覚えればどんな黒・色が作れます。

青色+赤色+黄色絵具を混ぜた場合

この三色を混ぜて黒色の絵の具ができる理由を知るために

12色相環をみてみましょう。

この三色(青色、赤色、黄色)を12色相環の中で見てみると、ちょうどバランスが取れた場所にいます。

これをいったん、線で結ぶと、綺麗な三角形ができました。

この三角形ができる範囲の色は、

混色でつくることができる色が入ります

今回のキーワード「12色相環の中心に黒がある」を思い出してください。

この三角形の中には黒色がいますよね。

なので、青色+赤色+黄色を混ぜると黒色ができるわけです。

なので赤を多く混ぜたり、

黄色を多く混ぜると赤よりの黒、

黄色よりの黒など様々な黒ができます。

12色相環では、黄はイエロー、赤はマゼンタ、青はマゼンタに相当します。

ここでは、細かいことは置いといて、

三原色を混ぜると黒ができるということが分かればよいです。

補色の絵の具同士を混ぜた場合

補色の絵の具同士を12色相環で見てみると、

対立した関係にあります。

この対立した色同士を直線で結び合わせると、

ちょうど中心を通る瞬間がありますよね。

「12色相環の中心には黒がいる」ので、

補色同士を混ぜると黒ができるわけなんです。

例えば、マゼンタと緑。

ふたつのいろを混ぜると

マゼンタを多く混ぜると赤よりの黒、

緑を多く混ぜると緑よりの黒ができます。

12色相環では、

マゼンタは限りなく緑と補色関係にあるので、

黒に近いものができるんですね。

茶色+青色絵具を混ぜた場合

じゃあ、茶色+青色の絵の具を混ぜたらなんで黒ができるのか。

これは茶色を分けて考えるとわかりやすくなります。

茶色の絵の具を作る場合、

混ぜる色は赤色と黄色と少しの黒です。

いうなれば、暗いオレンジなんですね。

12色相環でいうところの

ここらへん(下図参照)に茶色がいるわけですね。

察しの良い人はもう分かったと思います。

茶色と、青を線で結ぶとちょうど中心にぶつかるところがあります。

「12色相環の中心に黒がいる」のでこの組み合わせでも黒が作れるわけです。

黒の混色の理論を理解すれば、

肌色の作り方にも応用できます。

まとめ

絵の具を混ぜて黒を作る方法として、3つあります。

1つ目は、青、赤、黄色の絵の具の組み合わせ。。

2つ目は、補色の絵の具の組み合わせ。

そして3つ目は、茶色+青の組み合わせです。

黒色の絵の具ができる仕組みとしては「12色相環の中心に黒がある」という原理で説明できます。

最後までご覧いただきありがとうございました。

三原色の話がありましたが、三原色だけで色を描く方法も公開しています。

他にも、黒の絵具について紹介している記事もあるので、そちらも合わせてご覧ください。

下の章ではなぜ茶色と青の混色が有名なのかを考えたものです。

個人的な経験や解釈が強く出ているので、

もう少し黒の混色について一緒に考えていきたい方はご覧ください。

どうして茶色と青の混色が有名になったのか。

この混色が有名になった背景として、2つの理由が考えられます。

2色の組み合わせが安いから

茶色の代表であるバーントアンバー。

バーントアンバーの顔料は大量に入手できるので、とても安い絵具を作ることができます。

そして、青色の代表であるウルトラマリン。

これも大量に生産できる青色の顔料なので、安い絵具を作ることができます。

両方とも大量生産出来て安い絵具なので、混色して黒を作るには最適なのではないかと考えられます。

このことから、紫や黄色などの顔料は、高い絵具になる場合があるので、あまり使用されないのではないかと考えました。

しかし、これだけだと、あまり説得力がありません。

グリザイユの下地・陰影の利用のしやすさ

次に私の経験で考えた推論です。

グリザイユ画法という絵画技法を使った描き方をする場合、

最終的に描きたいモチーフの色によって、

グリザイユの色を青よりにしたり、茶色よりにしたりしてグリザイユを描きます。

このしやすさが、茶色と青の組み合わせだとその色の転がし方が抜群にいいのです。

また、陰影を描く場合にも、この組み合わせがいいです。

暖かいモチーフの陰影には茶色寄りの半透明の黒を塗り、

冷たいモチーフの陰影には青色よりの半透明の黒をぬったります。

例えばトマトの影の部分を描く場合、少し茶色寄りの半透明の黒をのせ、よりトマトの立体感を強調したりします。

そして、最初に紹介したバーントアンバーとウルトラマリンが透明性がある組み合わせになるので、これも有名になった要因なのかと考えます。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。