油彩画を始めたばかりで思った色が作れない。
何と何を混ぜたらどんな色になるのかわからない。
と言う方におすすめの油彩画の混色講座です。
初心者でも、三色(+白)の油彩絵具の混色だけで無限の色が作れますよ。
油絵具の混色をマスターしよう
こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。
今回は、油絵具で混色する方法や注意点などを解説したいと思います。
アナログの混色はデジタルと違って、マウスですいすいーと色を選択できないので、
私は、いまいちよくわからずやたらめたらと色を買ってチューブそのままで使っていたり、やたら色を混ぜたりしていました。

直感で色が取りづらいですよね。
おかげで色が派手になったり逆に暗くなったりとコントロールができませんでしたね。
絵具が泥のような色になるときもあります。
そのおかげで色を混ぜるときにこんなことをやったらまずい
これをやるといい色ができるぞ
ということを経験しました。
この経験と本から手に入れた知識を混ぜながら、解説したいと思います。
また、水彩やアクリル絵具、その他の絵具でもこの記事は参考になりますので、是非ご一読ください。
この講座では3色を使用して合計12色を作ります。
この円形に色を付けながら十二色の絵具の混色を塗っていきます。
それではよろしくお願います。
色の三原色
少しみわたすだけでも色は赤、青、黄、緑、紫、白、黒などたくさんの色で世界はつくられています。
ではこの無限ともいえる色を分解していくとどうなるのでしょうか。
色を最も小さい単位に分解すると
シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄色)

の三色になります。
これを「色の三原色」と言います。
プリンターではC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)がありますが
この三原色を利用してたくさんの色が表現されています。
三原色があれば、理論上、無限の色を混色で作ることができます。
実際に油彩絵具で混色するならどの色を使えばいいのか
しかし、実際の油彩絵具には純粋なシアン、マゼンタ、イエローは存在しません。
しかも、油彩絵具に限らず、アクリル絵具、水彩絵具も色は混色していくと濁っていくという性質があります。
なので、理論はまず置いといて具体的な色を使いながら学んでいけるようにします。
ここでは、3色(+黒と白)を使って無限の色を作り出していきます。
油彩絵具での混色に使う絵具
油彩絵具で三原色をそろえようと思うと、以下の3色がおすすめです。

- フタロブルー(ホルベイン)
- キナクリドンマゼンタ(ホルベイン)
- ポリアゾイエロー(ホルベイン)
この三色は原色のままだと鮮やかですが、アナログの混色の場合、濁るということを考えると、この三色がおすすめです。
ポリアゾイエローはパーマネントイエローレモンで代用できます。
フタロブルーはシアン、キナクリドンマゼンタはマゼンタ、ポリアゾイエローはイエローに相当します。
今回は簡潔にするため、シアンは青、マゼンタは赤、イエローは黄の表記をします。
(ここに書かれていない油彩絵具、アクリル絵具の色をもうすでに持っているという人は、青、赤、黄をその中から選んで参考にしてください。)
ここに白と黒を足します。
白は
- チタニウムホワイト(ホルベイン)
- シルバーホワイト(ホルベイン)
の二つを混ぜたもの。(シルバーホワイトがなくてもOK)

そして、黒は混色することで手に入れます。
具体的な混色方法は下で解説していますのでそちらをご覧ください。
グリーン(緑)やヴァイオレット(紫)、オレンジ(橙)はないの?
と言う方がいるかもしれませんが、それらは混色で再現することができるので、大丈夫ですよ。
この3色を混色して、他の色も作っていきましょう。
3色で色を作ってみる
混色に使用する油彩絵具
- フタロブルー(ホルベイン)
- キナクリドンマゼンタ(ホルベイン)
- ポリアゾイエロー(ホルベイン)
の3色でヴァイオレット、オレンジ、グリーンの3色を作ります。
混ぜたらどんな色になるのかわからないときは
青は冷たい、さわやかなイメージ

赤は熱い、あたたかいイメージ

黄色は明るいイメージ

だと考えてみてください。
ヴァイオレット(紫)の作り方

ヴァイオレット(紫)は赤+青の混色でできます。
具体的には
フタロブルー+キナクリドンマゼンタ=ヴァイオレット

になります。
赤色は熱い+青色は冷たい=なんだか相反する性質を持つ不思議な色だから紫
というイメージですかね
オレンジ(橙)の作り方

オレンジ(橙)は赤+黄を混色するとできます。
具体的には
キナクリドンマゼンタ+ポリアゾイエロー=オレンジ

になります。
赤は暖かい+黄色は明るい=暖かくて明るい陽気な色だからオレンジだ
というイメージをしてください。
グリーン(緑)の作り方

グリーン(緑)は青+黄を混色するとできます。
具体的には
フタロブルー+ポリアゾイエロー=グリーン

になります。
青はさわやか+黄は明るい=さわやかで明るい色だから緑
というイメージですかね。
これで三原色と合わせて6色になりました。

グリーンやヴァイオレットは想像よりも暗い印象があると思います。
これは、ブルーを使用している以上どうしてもこのように暗い色になります。
でも大丈夫です。
ここから、さらに合計12色に増やして、自分の理想の色を作りましょう。
6色で12色を作る
あとはその間を埋めるように色ができていきます。
フタロブルー(ブルー)、キナクリドンマゼンタ(レッド)、ポリアゾイエロー(イエロー)、ヴァイオレット、オレンジ、グリーン
の6色で合計12色を作ります。
残りの12色はどちらによるかによって色ができます。
レッドヴァイオレット、ブルーヴァイオレットを作る
レッドヴァイオレット(赤紫)は、赤+紫でできます。
具体的にはキナクリドンマゼンタ+ヴァイオレットです。

ブルーヴァイオレット(青紫)は、赤+紫でできます。
具体的にはフタロブルー+ヴァイオレットです。

赤を多めに入れるか、青を多めに入れるかの違いですね。

混色するときに、ブルーは少なく入れましょう。
ブルーが強いので、すぐ紫を青くしてしまします。
逆に、レッドヴァイオレットはマゼンタ(赤)を多めに入れると差が生まれます。
ヴァイオレット系はかなり色が暗く見えるので、差が分かりずらい部類です。
白と混ぜて、色を確認する作業をするとわかりやすくなります。
レッドオレンジ、イエローオレンジを作る
レッドオレンジ(赤橙)は、赤+橙でできます。
具体的にはキナクリドンマゼンタ+オレンジです。

イエローオレンジ(黄橙)は、黄+橙でできます。
具体的にはポリアゾイエロー+オレンジです。

レッドオレンジを作るときには、キナクリドンマゼンタ(赤)は少なめに入れましょう。
逆にイエローは弱い色なので、ポリアゾイエロー(黄色)を多めに入れるとイエローオレンジは作りやすいです。

ブルーグリーン、イエローグリーンを作る
ブルーグリーン(青緑)は、青+緑でできます。
具体的にはフタロブルー+グリーンです。

イエローグリーン(黄緑)は、黄+緑でできます。
具体的にはポリアゾイエロー+グリーンです。

黄色を入れるとより明るい緑に、
青を入れると冷たい緑になります。
イエローグリーンは、ポリアゾイエローを多めに入れて
ブルーグリーンはほんの少しだけフタロブルーを入れるのがコツです。

12色の混色の完成

油彩絵具で三原色と合わせて12色を作ることができました。
この12色ができれば、そのあいだの色、さらにその間の色と
無限の色合いができます。
12色を塗ると虹のような円ができました。
この十二色でできた円(環)のことを美術用語で十二色相環と言います。

明るい色、暗い色の混色のやり方
12色の色が完成しました。
これで無限の色を作ることができますね。
しかしここでさらに色を増やす方法を解説します。
白をたす
白を色に足すことで、明るくて淡い色合いを出すことができます。
もし油彩絵具で白を使うなら、
光が当たったところや、ハイライトを表現したいときに白をたします。
白を足すことで色の明度を明るく(高く)します。
【明度】めいど
色の明るさの度合い。
明度が低ければ、黒に近くなり、明度が高ければ白に近くなります。

チタニウムホワイトとシルバーホワイトを1:1で混ぜたものがおすすめです。
どうしてチタニウムホワイトとシルバーホワイトを足すのか
両方とも同じ白色ですが、それぞれの色には特性があります。
チタニウムホワイト
チタニウムホワイトは、下の色を隠す力が強い、最強の白と言ってもよいでしょう。
さらに経年変化もしづらく安定性があります。
しかし、強すぎるので、混色すると相手を喰ってしまう、白いオオカミのような存在です。
しかも油彩絵具にすると、乾燥するのにとても時間がかかります。
シルバーホワイト
一方シルバーホワイトは、透明感があり、温かい白です。
またシルバーホワイトが使っている顔料の鉛白(PW1)は
油彩絵具を早く乾燥させる性質があります。
しかも昔から使われていて、耐久性もあります。
まさに白の中の王様、キングオブホワイトと言えるでしょう。
一方で、白さがやや足りないです。
それを補うために白いオオカミであるチタニウムホワイトと混ぜことで
お互いの短所を補い合うことができるのです。
黒を足す
黒を足すことで、影の部分や、光が当たっていない部分を表現することができるようになります。
色が暗くなりやすいので、黒を足すときは少なめにしましょう。
黒はあまり使ってはいけない?
しかし、黒を足すと一気に暗くなるので、極力黒だけで色の暗さを出すのは控えたほうがいいです。
黒を使う場所は、どうしても黒にしたい。
黒じゃないとここは描けないという場所だけに黒を使用しましょう。
もし、色を暗くしたいという場合、混色したブラックを使用します。
ブラックの作り方
ブラックの作り方は、三原色を組み合わせた色になります。
- フタロブルー
- キナクリドンマゼンタ
- ポリアゾイエロー
この三色をバランスよく混色すると、暗い灰色のような色になります。
これを作った色と混色することで暗い色を作ることもできます。
実際に混ぜるとこのような色になります。

鈍い色の混色
色を鈍くしたいという場合もあると思います。
チューブからだしたそのままの色の場合、鮮やかすぎて、なんだかほしい色じゃない。
と言うときがよくあります。
そういう時は、補色を混ぜれば灰色を作ることができます。
補色とは

補色とは、12色相環を作りましたが、ちょうど対面するほうにある色のことです。
たとえば
- イエロー(黄色)とブルーヴァイオレット(青紫)
- グリーン(緑)とヴァイオレット(紫)
などがあります。
補色の関係にある色に混ぜると、色の鮮やかさが無くなり、だんだんと鈍い色になります。
この色の鮮やかさのことを彩度と言います。
補色の色の量によってだんだんと彩度が低くなっていきます。
逆に作った色や、チューブに出した状態の色は彩度が最も高いと言えるでしょう。

まとめ
アナログで油彩絵具などを混色するときは
青(シアン)、赤(マゼンタ)、黄(イエロー)の三原色を混ぜれば、無限の色相を作ることができます。
できた色に白、または黒を混ぜることで色の明度を調整することができます。
もし、イエローとブルーヴァイオレット、グリーンとヴァイオレットなどの12色相環で対立している色(補色)を混ぜると、グレーができます。
そのグレーをチューブから出した鮮やかな色の彩度を落とすことができます。
実際混ぜていくと、もっとこういう感じの色が好きとか、
レンブラントやゴッホみたいな絵をかいてみたいとか
色にこだわりがでてきたときに応用してくれれば幸いです。
番外編(メーカーが売っている12色セットってどうなの?)
今回の講座では、混色の仕組みを理解してもらうためにわかりやすい色を選びました。
初心者の方や、そこそこ油彩絵具やっているよと言う方は基本の12色を買われている方がいると思います。
私も油彩絵具を始めたときは12色セットがついてきたので、それを使用していました。
今は、自分が使いやすい色を選んで使用していますが、
改めて考えると12色セットは混色のことをよく考えられていてすごいなと感じています。
12色セットを買っていたら、その中にある色で紫やオレンジを作ってみたりしてください。
グリーンがはいっていたり、鈍い色を作りやすいようにあらかじめ鈍い色が選ばれているので、色が作りやすくなっています。
この記事を参考に混色実験をしてみてくださいね。
敷居が高いイメージのアナログの絵ですが、少しずつ階段を上っていくとどんどんと楽しさがでてきますよ。
最後までご覧いただきありがとうございました。
絵に関する記事を掲載していますので、良ければそちらもご覧ください。
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