こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。
今回は数ある寓意(アレゴリー)の中でも家畜としてよく見る鶏が絵画に出たときについて
一体どんな意味があるのか紹介したいと思います。
寓意(アレゴリー)って何?って方はこちらの記事がおすすめです。
それではよろしくお願いします。
鶏のアトリビュートと寓意(アレゴリー)
動物が象徴(シンボル・アトリビュート)または寓意(アレゴリー)になる場合は、その動物の見た目や、習性から意味を取られる場合が多いです。
また、鶏の場合は、ある聖人を表現しています。
使徒○○の持物(アトリビュート)
鶏はキリスト教の主要メンバーの一人である
使徒ペテロの持物(アトリビュート)です。
アトリビュートについてはこちらの記事で詳しく述べていますが
アトリビュートとはある人物が描かれていたら、それが誰なのかをわかるための記号や、モチーフと言えます。
もし男性のそばに鶏が描かれていた場合、
それは使徒ペテロになります。
なんで使徒ペテロのアトリビュートは鶏なのか
これにはある物語があります。
ペテロの否認
使徒ペテロはイエス・キリストに強い信仰心と忠義をもってこう言いました。
シモン(ペテロ)が言いった、「主しゅよ、わたしは獄ごくにでも、また死しに至いたるまでも、あなたとご一緒いっしょに行いく覚悟かくごです」。
するとイエスが言いわれた、「ペテロよ、あなたに言いっておく。きょう、鶏にわとりが鳴なくまでに、あなたは三度どわたしを知しらないと言いうだろう
『ルカによる福音書』第22章33節、34節より
と言われました。
つまり、ペテロはイエスキリストのためなら地獄の果てでもついていくと言ったんですね。
そして数時間後、イエス・キリストは人を惑わす異端者であるとして
連行されることになりました。
ペテロもその後を追っていきました。
ペテロはある女中に「この人もイエスと一緒にいた人です」
と言われたが「私は知らない」と否認しました。
他の人にも「あなたもあの仲間の一人だろ」と言われたが
ペテロは「いやそれはちがう」と否認しました。
そしてその一時間後にも他の人が
「たしかにこの人もイエスと一緒だった。」といったが、
ペテロは「あなたの言っていることは、わたしにはわからない」
と否認した。
その直後鶏が鳴いた。
ペテロはイエス・キリストの
「あなたは鶏が鳴くまでに三度知らないというだろう」
という言葉を思い出して、激しく泣いてしまいました。
と言う物語があります。
このことから、鶏が男性と描かれていた場合、その男性は使徒ペテロであるということにつながるわけです。
つまり、鶏は使徒ペテロのアトリビュートとなったわけですね。
魔除けの象徴
鶏は風見鶏と言う形で屋根の上に設置されていることがあります。
これは、鶏(雄鶏)が間を払ってくれるという説があるためです。
神の使い
鶏は神の使いとしても絵画に登場することがあります。
これは日本神話の天照大御神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸(アマノイワト)に引きこもってしまったときの場面で見ることができます。
アマテラスが天岩戸に引きこもってしまい、世界が闇に包まれてしまいました。
他の神々が踊ったり騒いだりして、何とかアマテラスを天岩戸から出したとき
常世の長鳴鶏(とこよのながなきどり)が鳴くと、世界に光がもたらされたという逸話があります。
このことから、神の使いや、夜明けを告げる神聖な鳥と言われるようになりました。
まとめ
鶏はキリスト教においては使徒ペテロのアトリビュートであり、日本では夜明けを告げる神聖な鳥であります。
文化が違えど、鶏は良い意味でとらえられることが多いということが分かりました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
猫や犬などが絵画に登場した時に一体どんな意味になるのか
ご存知ですか。
下の記事でも紹介しているので、そちらもご覧ください。
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