油絵具やアクリル絵具で油絵・アクリル画を描くときに
市販のキャンバス以外のものに描きたい!
木の板や石に描きたい!
ということはありませんか?
そんなときはキャンバスやパネルに
地塗り(下塗り)をすることで解決します。
だけど地塗りのやり方が分からない、
手順や方法が分からない。
どんな道具や材料を揃えればいいのかわからない。
とうかたがいるかと思います。
この記事を読めば
地塗りの手順や道具などを知ることができ
地塗りをできるようになって
表現の幅がググっと広がります。
それではよろしくお願いします。
地塗りって何?
ところで地塗りって何でしょうか。
地塗りとは絵を描きやすく調整するための下地のことです。
ちょうどお化粧をのりやすくするときのファンデーションに似ていますね。
地塗りをすることで
- 絵具を塗りやすくできる
- 支持体(キャンバスやパネル)の色が整えられる
- 好きな表面の質感にできる
などいろいろなメリットがあります。
完成品
この記事で紹介する地塗りの完成品はこちらです。
下の画像はシナパネルに下地を塗って完成したものです。
白色でつるつるすべすべの卵みたいです。
今回はこのような滑らかな地塗りのパネルを目指していきます。
またこの地塗りは油絵、アクリル画、水彩絵の具など
どんな絵の具にも使える万能型地塗りなので、
いろんな画材を併用することができます。
では実際に地塗りを作っていきましょう。
地塗りに必要な道具・材料
ここでは地塗りにつかう道具や材料を紹介します。
また、注意点もありますので注目して読んでくださいね。
道具
道具は最低限
- 刷毛
- 紙やすり
の2点が必要です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
刷毛
刷毛は表面を滑らかなものにしたいので
柔らかい毛質のものを選びましょう。
羊毛が一番使いやすいですが、
安価なナイロンの刷毛でも構いませんよ。
今回はナムラの羊毛の刷毛を使用しました。
紙やすり
一口に紙やすりと言ってもたくさんの種類があります。
今回は目の番手(粗さ)が#240の紙ヤスリがおすすめです。
注意点として
目が荒すぎる(#60など低い番手)と削りすぎてしまったり、
目が細かすぎる(#400~800など高い番手)と
削るのに時間がかかりすぎるので、
#240番前後の紙ヤスリを使用してください。
材料
材料は
- シナパネル
- アクリルメディウム
- 下地材
- 水
の4つが必要です。順に説明します。
シナパネル
シナパネルとはシナの木を薄くスライスして
貼り合わせた木の板(合板)のことです。
よく見てみるとなめらかな木目が見えると思います。
特徴としては
- キャンバスのように布目がなく木目が滑らかなこと。
- 水分をよく吸収すること
- わずかな光沢があること
などがあります。
シナパネルの他にも似たようなもので
ラワンパネルというものがありますが、
これは安いですが、
表面がざらざらしていて
アク(木から出る茶色い汁みたいなもの)
が出やすいので
表面に絵を描くならシナパネルをおすすめします。
今回はクレサン社製シナパネル、
サムホール(SM)サイズを
使用します。
アクリルメディウム
アクリルメディウムは水に溶かすことのできる
ペースト状のアクリル樹脂のことです。
簡単に言ってしまえば透明なアクリル絵の具だと言えます。
あとで説明しますが、
このアクリルメディウムは
目止めという作業で使います。
今回はホルベインのアクリリックメディウム
というものを使用しました。
下地材(ジェッソ)
下地材とは表面を整える役割をする塗料のことです。
ほとんどの場合、ぽってりとした流体で白色をしています。
原液のまま使うこともできますが、
今回は滑らかな地塗りにしたいので少し水で薄めます。
記事ではホルベインジェッソS(微粒子)を使いました。
水
そのまま水です。
アクリルメディウムや下地材(ジェッソ)
を薄めて塗りやすくするために必要です。
水を入れる容器は紙コップでもいいです。
もし金銭的に余裕があるなら
ウォッシュボトル
という先端がとんがった容器に水を入れておくと
水の量が調整しやすいのでおすすめです。
上の画像のようなものです。
地塗りの道具・材料については以上です。
ドライヤー
あると便利なものとしてドライヤーがあります。
今回使うアクリルメディウムや
ジェッソの乾燥を早くしたいときには
ドライヤーを使うと便利です。
地塗りの手順
それでは地塗りの手順に入っていきましょう。
手順は大まかに
- 支持体を調整する
- 目止めをする
- 下地材(ジェッソ)を塗る
- 乾燥・やすりがけ
の手順があります。
それぞれ見ていきましょう。
1:支持体を調整する
まず初めに支持体(しじたい)を調整します。
支持体とは塗膜を支える面を構成する物質のことです。
今回の場合はシナパネルのことです。
ここで使うのはやすりです。
シナパネルをやすりがけして、
木肌を調整し、汚れや油脂を落とします。
ほとんど滑らかな場合が多いので、
力いっぱいやすりがけをせず、
表面を撫でるようにやすりがけします。
2:目止めをする
次に目止め剤を使って目止めをします。
目止めとは木材の繊維を埋めて、
上に塗る絵具の吸収を防ぐことです。
私の場合、
アクリルメディウム:水が1:1の割合
で希釈したものを筆で2回塗っています。
1回目はシナパネルの横(木目)に対して
水平に刷毛を進めていき、乾燥させます。
2回目はシナパネルを
垂直に刷毛を進めていきます。
塗り終わったら乾燥させます。
ドライヤーで乾燥させると早く乾燥します。
もしアクリルメディウムが
硬くて塗りにくいようでしたら
水を加えて柔らかくします。
大体牛乳の柔らかさですかね。
今だとホルベインの目止め剤(ヤニ止めシーラー)
が販売されているので、
今から始める人はそちらを購入するのもオススメです。
ホルベイン アクリリックメディウム ヤニ止めシーラー(水溶性下地処理剤)と検索すると出てきます。
3:下地材を塗る
目止めが乾燥したら今度は下地材を塗っていきます。
下地材を塗るときには
ジェッソ:水が2:1くらい
に薄めて塗ると塗りやすいです。
塗るときには柔らかい刷毛で塗るとより滑らかな表面になります。
最初は横(木目に沿って)に塗り、
先ほどと同様にドライヤーを使うと早く乾燥します。
次に縦に塗って
ドライヤーで乾燥させます。
この塗布と乾燥を2~3回繰り返します。
ホルベインのジェッソにはSやM、Lなどのものがありますが、
初心者の方にはM(標準粒子)がオススメです。
私の場合さらに細かく描きたいのでS(微粒子)を使用しています。
細密に描きたい方はS(微粒子)のジェッソを使用してください。
4:乾燥・やすりがけ
下地材(ジェッソ)が乾燥したら、やすりがけをします。
一か所だけを集中してやするのではなく
表面を撫でるように全体を均一に削ると
きれいにやすり掛けができます。
ブツブツや刷毛の毛などが取り除かれ
きれいな表面になります。
やすりの番手は#240です。
さらに滑らかにしたい場合は
#240でやすりがけをしたあとに、
#400の紙ヤスリでやすりがけをすると
さらに滑らかになります。
5:完成
パネルヘの地塗りが完成しました。
木目が消えて白くなり
滑らかな表面になりましたね。
ここで注意点ですが、
完全に水分を飛ばすために
完全乾燥(72時間)するようにしてください。
特に油絵具で油絵を描くときに、
地塗りに水分が残っていると
あとになって油絵具が
ぼろぼろ剥がれてくる危険性があります。
せっかく描いた絵が剥がれるなんてもったいないですよね。
まとめ
ではここでまとめとおさらいです。
- 地塗りとは支持体の表面を調整すること
- 地塗りの方法は支持体の調整、目止め、下地材を塗る、乾燥の順で作ることができます。
- 地塗りを完全乾燥させて、トラブルを防ぐ
というのが今回のおさらい、ポイントでした。
今回地塗りを完成しましたが、
地塗りができれば、あとは下絵を転写したり、
油絵を描いたりなど
いろいろな表現ができるようになります。
地塗りの他にも絵具の取り扱いもとても重要です。
皆さんも是非試してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
絵は紙や布に描かなければいけないものと思い込んでいました。勉強になります、ありがとうございます(*^^*)紙や布より描きやすいですか?無知なのでブログで色々拝見させていただきます!
お役に立つことができて光栄です。ありがとうございます!
紙や布と比べてデコボコが少なくなるので、細かく描きやすいです。私は紙や布より描きやすいと思いますよ。