有色下地(インプリマトゥーラ)の処方・描き方を紹介。

みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。

今回は「有色下地(インプリマトゥーラ)の処方・作り方」について紹介・解説したいと思います。

以前、有色下地(インプリマトゥーラ・インプリミトゥーラ)について少しまとめた記事を載せたとき

記事をみてくれた方が

白亜地にインプリマトゥーラをする場合その液の組合せはいろいろ有ろうとは思うのですが何をどんな割合に混ぜるのが一般的なのでしょうか?

という質問をいただきました。

たしかに有色下地(インプリマトゥーラ)の処方・作り方については記事にしていなかったので、

この機会に記事にしました。

有色下地(インプリマトゥーラ)て何?と言う方は下の記事を参照してくださいね。

それではよろしくお願いします。

有色下地の塗り方

有色下地(インプリマトトゥーラ)の塗り方を紹介します。

下の動画ではどのようにぬるのか、大まかに説明しています。

一度動画をご覧になるとおおまかな流れが分かると思います。

用意する道具

有色下地を塗るとき、用意する道具は

  • 基底材
  • 刷毛
  • テレピン
  • 油彩絵具
  • 小皿

です。

基底材

基底材とは、絵を描くための基盤のことです。

キャンヴァスやパネル、画用紙などのことです。

動画ではパネルを使用しています。

刷毛

刷毛は柔らかい毛先が良いので羊、馬、柔らかい化学繊維(ナイロン)の刷毛にしてください。

動画でもホームセンターで入手しやすい40㎜の化学繊維(ナイロン)の刷毛を使用しましたが、使い勝手は良好です。

絵具をぼかすときにもよく使うので、一本もっておくと良いです。

テレピン

テレピンとは油彩絵具を薄めるための揮発性油(きはつせいゆ)と呼ばれるものです。

ちょうど水のように揮発(きはつ)してなくなるので揮発性油です。

アクリルや水彩、膠などで有色下地(インプリマトゥーラ)を行う場合、テレピンの代わりに水を使用します。

油彩絵具

着色をするために使用します。

油彩画で描く場合は油彩絵具ですが、

アクリル絵具、水彩絵具、テンペラなどの水性の絵具で塗る場合、油彩絵具を使用せず

次の章「有色下地(インプリマトゥーラ)の処方」で紹介する

水性の処方を使用してください。

ちなみに色なのですが、基本的に上の色の邪魔をしない色を使用してください。

動画ではローシェンナを使用しています。

詳しい色の種類については冒頭で紹介した記事に記載しています。

小皿

油彩絵具を使う場合、ガラス製か、陶磁器製の皿を使用してください。

プラスチック製品の小皿の場合、テレピンが溶かしてしまう場合があります。

水性の場合は、プラスチック製品で構いません。

刷毛の大きさに対して、小皿の直径が少し位大きめ(2~4センチ程度)のサイズを用意しましょう。

有色下地の塗り方

①油彩絵具をテレピンで溶かす

油彩絵具をテレピンで溶かします。

油彩絵具を小皿に小指の爪ほど入れて、テレピンを少しずつ入れていきます。

入れる量は、油彩絵具が小皿でしごいて垂れるくらいです。

ちょうど色水のようになります。

②画面に対して横に刷毛を動かす

右利きの方の場合、

画面左上から右へ刷毛を進めます。

右端までいったら1~2センチ重ねて

下へ進みます。

同じように左から右、左から右と刷毛を進めていきます。

③画面に対して縦に刷毛を動かす

刷毛を縦に進めていきます。

画面左上から下へ刷毛を進めていきます。

下まで言ったら刷毛を右どなりへ1~2センチ重なるように刷毛を移動させ

同じように上から下へ刷毛を進めていきます。

左利きの人の場合は逆の位置で刷毛を進めるとやりやすいです。

④画面のムラを無くしていく

ほどんど絵具がついていない状態の刷毛で優しく画面を撫でていきます。

②、③で説明した刷毛の動かし方で画面で繰り返していきムラを無くしていきます。

⑤乾燥させて完成

乾燥させて完成です。

油彩絵具の場合、半日から一日乾燥させればある程度乾燥します。

ここでは油彩絵具で説明しましたが、水星の場合でも同様に行うことができますので、参考にしてくださいね。

次は有色下地(インプリマトゥーラ)の処方(レシピ)を紹介します。

有色下地(インプリマトゥーラ)の処方

有色下地(インプリマトゥーラ)の処方は油性の処方と水性の処方に分かれます。

どちらも下地に塗る際は、刷毛を使用してください。

油性の処方

有色下地(インプリマトゥーラ)の油性の処方は、油彩絵具でのみ使用するようにしてください。

もし水性絵の具で描いた場合、剥がれる可能性があるためです。

【お手軽処方】テレピン(ターペンタイン)のみ

この処方を使用する場合は下地がしみこみにくいタイプ(非吸収性・半吸収性)のものをおすすめします。

すでに白く塗られている市販のキャンバスやアクリルジェッソを塗ったキャンバス・パネルなどが挙げられます。

今市販されている製品のものだったらほとんどが該当しますね。

吸収性の強い白亜地や石膏地に使用するのはあまりお勧めできません。

できることにはできますので、そこまで神経質になる必要はありませんが・・・

(有色下地(インプリマトゥーラ)には「吸収性を抑える」という役割もあるので、この処方だと吸収性の強い下地には向かないため)

【処方①】ダンマルワニス:ターペンタイン=1:4

この処方の場合、上に油彩絵具で塗る場合に最も適した処方だと思います。

ダンマルワニス1mlに対してテレピン4mlを加えたものを使用します。

ダンマルワニス(ダンマルバニス)はクサカベさんから販売されている

「クサカベ 画用液 ダンマルバニス」

を使用するのが良いかと思います。

自作もできますが、ダンマルワニスの作り方については省略させていただきます。

有色下地(インプリマトゥーラ)をするときのオールラウンドな処方と言えます。

【処方②】ペインティングオイル:ターペンタイン=1:1

市販されているペインティングオイルを

同じ量のターペンタイン(テレピン)で薄めて使用する方法です。

処方①とほとんど変わりなく使用することが可能かと考えます。

水性の処方

有色下地(インプリマトゥーラ)の水性処方は

油彩絵具、水性の絵具(アクリル絵具)にも使用することができるので、

色々と試したいという方はこちらをおすすめします。

【お手軽処方】水性アクリル絵具

この処方は、シンプルですが使用できるかと考えます。

市販のキャンバスにアクリル絵具を塗るだけです。

今回紹介する水性の処方の中で一番お手軽かなと思います。

私はアクリル絵具の有色下地の上から油彩絵具で着彩するときもありますが

食いつきもよく使いやすいです。

【本格派処方】膠水

水性で行う場合、本格的なものだと膠水を使用したものがあります。

膠1gに対して、20mlの水を加えた膠水に顔料を加えた絵具を有色下地(インプリマトゥーラ)に使用します。

この処方は昔からあり、本格的にやりたいと思う方におすすめします。

また、上にアクリル絵具や水彩絵具など水性の絵具を上に乗せるときにも使用することができます。