ジェッソって何に使うの?特徴や種類を詳しく解説。初心者おすすめも紹介

みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。

画材点で並んでいるジェッソご存知でしょうか。

ホルベインの白地に青のライン、

黒の文字が入ったパッケージが特徴的ですよね。

だけどあれって何のために使うのかわからない。

ジェッソの特徴って何?

SとかMとかのサイズって何?

色付きのジェッソって何のためにあるの?

など疑問があるかと思います。

そんな疑問に答えるために今回は

ジェッソの特徴や種類を詳しく解説していこうと思います。

それではよろしくお願いします。

ジェッソとは何に使うの?

ジェッソと言えば、ホルベイン社製の

「ジェッソ」が思いつくと思います。

白の地に青のラインが特徴的ですよね。

ここでは「ジェッソ」という単語が出た場合、

ホルベイン社のジェッソということにします。

ではジェッソは一体何に使うのでしょうか。

ジェッソは基本的に白色の塗料で

絵を[su_highlight background=”#fbf808″]描く画面を整える下地塗り(地塗り)[/su_highlight]のために使います。

地塗りをすることで、

油絵具やアクリル絵の具の画面への食いつきを良くし、

発色を良くするなどの役割があります。

ジェッソを塗らず、そのままのキャンバス(布)や

パネル(木の板)に絵具を塗ってしまうと、

しみこんだり、思った発色にならなかったりしてしまいます。

なのでジェッソは絵を支える大切な下地の役割があるんですね。

ジェッソの特徴

ジェッソの特徴として

  • 片付けが簡単・便利
  • どんな絵具にも使える
  • ほどんどのものに塗れる
  • 半吸収性の下地になる

という特徴があります。

ジェッソの素材・成分って何?

ところでジェッソって何の素材でできているのでしょうか。

ジェッソは炭酸カルシウムと言う細かい白い粒(顔料)と

水に溶けるアクリル樹脂(接着剤の役割)が混ざった塗料です。

公式に出すと

ジェッソ=炭酸カルシウム+アクリル樹脂

ですね。

(厳密に言えば

ジェッソ=白色の顔料:チタニウムホワイト+炭酸カルシウム+アクリルエマルジョンですが、説明をしやすくするため省略します。)

接着剤の役割をしている[su_highlight background=”#fbf808″]アクリル樹脂は水に溶けるという特徴[/su_highlight]があります。

そのことからジェッソには以下の特徴があります。

片付けが簡単・便利

最初の特徴として、片付けが簡単で便利であるという特徴があります。

ジェッソは水で薄めることができるので、

片付けをする際にも

水で洗い流すだけで道具を片付けることができます。

片付けが便利で簡単なんですね。

例えば、他の下地材(地塗り塗料)では

キャンゾール(マツダ社製)やクイックベース(ホルベイン社製)がありますが、

これらはテレピンやペトロールなどの特殊な液体でしか溶けないので、

片付けが面倒なんですね。

どんな絵具にも使える

ジェッソの特徴としてどんな絵具にも使えるというものがあります。

アクリル絵具のはもちろんのこと

油絵具や水彩絵具、日本画で使われる膠を使った絵の具などにも使えます。

いわゆるバランス型の下地材と言えますね。

ほとんどのものに塗れる

これもジェッソの特徴として挙げられます。

キャンバス(布)やパネル(木の板)、石や金属など

ほとんどのものに塗ることができます。

特殊な素材にぬるときは色々な処理が必要になりますが、基本的にほとんどのものに塗ることができます。

半吸収性の下地になる。

少しマニアックな話ですが、ジェッソを使った場合、

絵具を程よく吸い込む半吸収性(はんきゅうしゅうせい)の地塗りになります。

なので、水性絵の具(水彩絵具、アクリルの絵の具)、油性絵の具(油絵具)を程よく吸い込むんですね。

ほどほどの絵具の食いつきと、筆さばきになります。

このジェッソの吸収性については下の記事で紹介しています。

ジェッソの意味と由来

ちょっと話が脱線しますが、ジェッソってどういう意味かご存知でしょうか。

ジェッソはもともとフランス語の「Gesso」。

日本語に訳すと「石膏」という意味があります。

ジェッソは白いことが基本ですが、

これはジェッソに使われている顔料(炭酸カルシウム)が

白いのでジェッソは白いんですね。(当然ですが)

フランスの絵画の歴史では地塗りの塗料には

炭酸カルシウムではなく、伝統的に石膏を砕いて

粉末にしたものが使われていました。

なので「石膏」を意味するGessoが使われるようになり

現在では意味が広がり

地塗りの塗料のことをまとめて「Gesso」

と言うようになりました。

ジェッソの種類

ジェッソのサイズ

ジェッソにはS、M、L、LLという種類があります。

このサイズというのは少し前に紹介した

炭酸カルシウムの粒の大きさがどのくらいの大きさなのか

というのを表しています。

Sの場合、かなり細かい粒子を使い

LLの場合、Sと比べると大きな粒を使っています。

サイズが上がることに粒の大きさが、大きくなっていきます。

細密な表現に向いているSサイズ

Sサイズのジェッソは本物のようにリアルな表現(写実表現)や、

精巧で密に描く細密描写や細密画(ミニアチュール)に向いています。

表面は陶器のように滑らかになるので、細い筆の邪魔になりません。

私もこれで描くこともありますが、筆運びが滑らかなので描きやすいです。

初心者におすすめのジェッソ。標準的なMサイズ

これはジェッソを買うのに迷っている初心者や

とにかく地塗りをできればいいという方にお勧めできるのが、

このMサイズのジェッソです。

このMサイズでも充分な細密表現と、絵具の食いつきができるので、

私もホルベインのジェッソを使う場合、これで基本的に描きます。

大容量のものもあるので、便利なんですよね。

面白い表現ができるL、LLサイズ

これは地塗りをでき、

なおかつぼこぼことした質感を付けたいなという方に向いています。

細密描写には向いていませんが、

面白い表現ができます。

カラージェッソ

ジェッソは基本的に炭酸カルシウム(と白色顔料チタニウムホワイト)が含まれているので白色をしています。

そこにあえて色がついた顔料にすることで色のついたカラージェッソにします。

ホルベイン公式ホームページで販売されているカラージェッソは

全22色あります。(執筆時)

表で表すと

販売色名色系統・通称色名
カーマイン
オレンジオレンジ
ジョーンブリアンピンク
イエローイエロー
レモンイエロー明るい黄色
ライトグリーン黄緑
グリーン
テールベルト青緑
ネイビーブルー濃い青(紺色)
コバルトブルーヒュー
セルリアンブルーヒュー明るい青
バイオレット
イエローオーカー黄土
ローアンバー茶色
レッドオーカー赤土
バーントアンバー茶褐色
グレイV-5ニュートラルグレー
グレイV-7ライトグレイ
ブロンズ
シルバー
ゴールド
ブラックジェッソ

すごいカラーバリエーションですね。

どれを選んでいいのか迷ってしまいます。

もしカラージェッソを買われる場合、

オススメの色も紹介します。

カラージェッソおすすめの色

オススメできる色としては

主張しすぎない穏やかな色です。

なので、カラージェッソの色名でいうところの

  • イエローオーカー
  • ローアンバー
  • バーントアンバー
  • グレイV-5
  • グレイV-7

がおすすめです。

もし絵具で下地の色を有色(有色下地)にしたい場合、

白色の標準粒子(Mサイズ)のジェッソを塗った後に

アクリル絵具を塗る方法があります。

まとめ

絵画の下地材であるジェッソは

絵を描く画面を整える下地塗り(地塗り)の塗料ことです。

下地を整えることで

絵を描きやすくしたり、

キャンバスやパネルの寿命を延ばして、

作品を長く持たせることができます。

初心者におすすめのジェッソは

標準粒子(Mサイズ)のホワイトジェッソです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

他にも下地材についてや油絵具、アクリル絵の具などの

画材について紹介しているので、そちらもご覧ください。