油絵具の原材料や成分は何?素材を詳しく紹介!

みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。

ふと油絵の具を見ると何で作られているんだろう。

なんか、サフラワーオイルで練った最高級の~

とか、リンシードで強靭な~

という単語を聞いても何だろう。

と思ったことはありませんか?

私は気になって油絵具メーカーの公式カタログで聞いてもあまりピンときませんでした。

そこで今回は油絵具に含まれている成分を、詳しく紹介したいと思います。

それではよろしくおねがいします。

油絵の具の原材料・成分

油絵の具の中身を分解して見ると、大きく3つに分けることができます。

  • 顔料
  • 主媒剤(油絵具の場合、乾性油)
  • 助剤

の3つに分けることができます。

顔料

まず1つ目は顔料(がんりょう)です。

簡単に行ってしまえば、色のついた細かい粒のことです。

この顔料があるおかげで絵の具の色ができるわけですね。

顔料の中には合成のものや、天然のもの、無機顔料、有機顔料などたくさんの顔料があります。

だけどそれだけだとキャンバスやパネルにくっつくことができません。

そこで、次に紹介する乾性油が必要になります。

主媒剤(油絵具の場合、乾性油)

2つ目の油絵具の原材料「乾性油」(かんせいゆ)は顔料をキャンバスやパネルなどの画面にくっつけるための接着剤のような役割をしています。

美術的な専門用語で言えば、バインダーや展色剤(てんしょくざい)・主媒剤(しゅばいざい)なんて呼ばれます。

乾性油は、何日か酸素に触れると乾燥する(固まる)性質を持った油のことを言います。

だから乾性油なんですね。

油絵の具では

亜麻が原料のアマニ油(リンシードオイル)

ケシが原材料のケシ油(ポピーオイル)

ベニバナが原材料のサフラワーオイルなどが使われます。

他にも様々な乾性油が油絵具に使用されますが、ここではこの3種類を簡単に紹介します。

アマニ油

アマニ油は亜麻と呼ばれる植物の種からとれる油です。

リンシードオイルといわれて油絵の具ではよく使用されます。

特徴は、乾燥するスピードが早く、丈夫な塗膜を作ります。

一方で白色や淡い色に使うと乾燥後色を黄色っぽくさせてしまうというデメリットがあります。

しかし現在もその乾燥性の速さと丈夫な塗膜を作ることから下塗りや中塗りに使用されています。

ポピーオイル

ポピーオイルはケシから採取される乾性油です。

道端にたまに生えている可愛らしいあの花のことです。

ポピーはケシ科の植物なのでケシ油=ポピーオイルと言われるんですね。

ポピーオイルの特徴は、乾燥した後も、黄色ぽくならないので、

淡い色に使用されます。

その代わり、中までしっかり乾燥するのに時間がかかります

大体6日くらいを目安にしたほうが良いです。

表面が乾燥した!と思って上に絵の具をのせると、

あとでそこから剥がれてきたりしてきてしまい、絵が崩壊するなど、大変なことになります。

なので、仕上げの段階で使用するほうが無難です。

日本ではマツダの油絵の具であるマツダスーパーがこのポピーオイルで練られています。

サフラワーオイル

サフラワーオイルもポピーオイルと同じような性質を持つ乾性油です。

ベニバナの種が原材料になっています。

乾燥速度はポピーオイルと同じで、乾燥した後の塗膜はポピーオイルとリンシードオイルの間ぐらいの強さを持っています。

ホルベイン社製の白色の油絵具に使用されていたり

レンブラント社製の白色、淡色系の油絵具に使用されていたりします。

マルメリ社製「ピューロ」シリーズでは、ポピーオイルとサフラワーオイルを使用していたりします。

助剤

油絵の具は顔料と乾性油さえあれば油絵具になります。

それに加えて、助剤(じょざい)を加えることによって油絵具の性質を変化させることができます。

体質顔料

体質顔料(たいしつがんりょう)とは乾性油に入れると透明に近い色になる顔料のことです。

え、じゃあ入れる必要ないのでは?

と思うかもしれません。

もちろんメリットがあります。

体質顔料を入れることで、油絵具の滑らかさを調整できたり、

絵の具の発色・透明性を調整できたりという体の質を変化させることができます。

よく油絵具で「単一顔料の~」とか「高濃度の顔料」という広告がありますが、この体質顔料がない、もしくはほとんどない油絵具のことをそういっているんですね。

この体質顔料が多すぎると、油絵具をまぜるときに「色が濁りやすい」と言われています。

樹脂

油絵具は乾燥するまでのあいだに、画面から流れてしまう場合があります。

そこで樹脂を入れます。

樹脂は油絵具内の乾性油よりもはやく固まる性質があります。

そこで樹脂を入れることで樹脂が一時的に油絵具をかためて、

後から乾性油が乾燥していくということができるんですね。

蜜蝋(みつろう)も形を維持するために添加される場合があります。

防ばい剤

防ばい剤(ぼうばいざい)は、漢字に直すと防黴剤(ぼうばいざい)。

つまり黴(カビ)を防ぐもののことです。

アイボリーブラックなどの油絵具は黴が増殖しやすいと言われています。

なので、そのカビを防ぐためにこの防ばい剤を添加する場合があります。

私の場合、膠(ニカワ)を腐りにくくするために、防ばい剤を加えたりしていますね。

金属せっけん(乾燥促進剤)

金属せっけんは、いうなれば油絵具の乾燥を早める乾燥促進剤(かんそうそくしんzない)です。

金属せっけんは、金属にたくさんの酸素がくっついた構造を持っています。

油絵具の乾性油が固まるためには酸素が必要です。

そこでこの金属せっけんを加えることで、中に酸素をたくさん取り込んだ状態になるので

油絵具のなかの乾性油の乾燥が早くなります。

市販品では、シッカチフという名前で販売されていますね。

油絵具のひび割れや剥がれにつながるので、使い過ぎには注意が必要です。

チューブに入った油絵具の場合、メーカーが最適な乾燥速度になる様に設計しています。

油絵具のシルバーホワイト(鉛白、PW1)も乾燥を早くする性質を持っています。

まとめ

油絵具は、顔料と乾性油、助剤が主な成分です。

油絵具の主な成分は、顔料、主媒剤(乾性油)、助剤です。

顔料とは、色のついた小さな粒々のことです。

乾性油は酸素と触れると固まる顔料を接着する接着剤のようなものです。これだけでも油絵具になります。

助剤には、樹脂や蜜蝋、金属せっけんなどを加えることによってあの油絵具の独特の質感になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。