こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。
今回は人類の中でも古い時代からなじみのあるインクについて紹介していきたいと思います。インクの種類や歴史をより知りたい方におすすめできる記事になっています。
ただ単にインクと言っても実は様々な種類があることをご存知でしたか。歴史を交えながら紹介していきたいと思います。それではよろしくお願いします。
インクとは
インクとは広辞苑によると
インク【ink】
筆記または印刷に用いる有色の液体。筆記用の青は染料の他にタンニン鉄を含み、印刷用は顔料を油や樹脂で練って製する。
岩波書店『広辞苑 第六版』「インク」より引用
と記載されています。
ここで染料やタンニン鉄と言う単語が出てきましたが、これによってインクの種類が異なります。
染料と顔料の違いについては別記事で記載しています。
インクの種類とその特徴
インクの種類には大きく分けて2種類のものが存在します。一つ目は墨汁のような墨汁型。もう一つはブルーブラックインクと呼ばれるものです。
墨汁型
墨汁型は煤煙と膠のような接着剤を混ぜて混合したタイプです。今の製図や証券用のインクもこのタイプのものです。
このインクの特徴は水溶性ですが、乾燥するとかなり高い耐水性をほこります。また、鮮明な線が描けるため、文字をはっきり書くときや、複写をするときに使われます。
このタイプのインクは墨汁とよく似ていて、和紙や洋紙・布・繊維の状態によってにじみやぼかしの効果が生まれます。
ブルーブラックインク
このタイプは化学的に作られたインクです。
没食子(もっしょくし)酸液の中に硫酸鉄を加えて作ったもので、空気に触れると酸化し、だんだんと中に含まれている鉄分が青黒色の物質に変化して定着します。
没食子(もっしょくし、ぼっしょくし)
植物の若葉にできるこぶのこと。虫が卵を産むことによってそこにこぶができる。タンニン成分を多く含み、インクや染料に用いられる。
原体験教育委員会「五倍子って何?」を参照 参照元:原体験教育委員会
この青黒色変化には時間がかかりますので、変化するまでの間をつなぐ色として染料や炭素粉が加えてあります。
このインクにはさらに様々な種類が開発されましたので、インクの歴史とともに紹介していきます。
インクの歴史
墨とインク
初期のインクは前述した墨汁型のインクが使用されてきました。中国、日本、古代エジプトの実ならず、西欧でも中世までこのインクが使われています。
墨を英語でChinese inkと呼びますが、これは墨がインクの最も古い形状であることがうかがえます。
古代エジプトでは、パピルスにも使用され、インクを液体のまま小さな瓶に保管していたと言われています。
ブルーブラックインクの誕生
このインクが使われ始めたのは10~12世紀の間と言われています。
10~11世紀には没食子を利用した没食子酸液に硫酸鉄を加えたブルーインクが使われていました。
11、12世紀は硫酸の合成法が確立し、ブルーインクがより使用されるようになりました。
ブルーブラックインクはその耐久性が高く長い間利用されてきたが、数十年たつとだんだんと茶褐色になっていき、インクの付いた箇所が劣化し始め、折れや裂けが発生しやすくなります。
ブルーブラックインクで書いた古い文書やデッサンを光にかざすと小さな穴が開いていることがあります。
近年だんだんとこのタイプは使われなくなり、取って代わったのは染料を使った色インクでした。
染料(色)インクの誕生
染料インクは近代の化学が染料の色を豊富に開発したため、多彩な色のインクが開発されています。
文房具店で売られている筆記用インクは大体この染料インクであると言えます。
染料インクは、水に溶けますので、濡らすと色が消えたり、流れてしまう恐れがあります。
逆にこの特性を利用したにじみやぼかしの絵を描く画家もいます。
染料インクの改善
これらを改善するため、現在ではインクに樹脂を含ませています。。この樹脂はシェラック樹脂を使用しておりそれを処理したものを用いています。
これにより、耐水性になり、重ね塗りが可能になりました。(アルコール溶剤のものは重ね塗りはできません)
しかし、このシェラックは熱に弱いので暖房器の近くや直射日光のあたらないようにすることが必要です。
シェラック【Shellac】
ラックカイガラムシ(Laccifer lacca)、およびその近縁の数種のカイガラムシの分泌する虫体被覆物を精製して得られる樹脂状の物質である。
Wikipedia「シェラック」より引用 引用元:Wikipedia
まとめ
インクは同じようでありながら、実はだんだんと姿を変えて私たちの生活を支えています。
これからどんどんと成長していき私たちの近くにいつまでもあり続けることでしょう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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