今回は
『1日で描くリアル油絵の基本 6色+白だけで多彩に描ける本格入門!』
の評価や個人的な感想、どんな方にお勧めできるのかを紹介したいと思います。
それではよろしくお願いします。
概要
『1日で描くリアル油絵の基本 6色+白だけで多彩に描ける本格入門!』
はタイトル通り
- 実物のようなリアルな絵を描く
- 一日という制限時間
- 6色+白という色の制限
というルールのもと様々な絵を描く方法
を紹介・しています。
となっています。
本の感想・評価(レビュー)
総合的なおすすめ度は
[su_highlight background=”#fbf808″]☆☆☆☆(星4つ)[/su_highlight]です。
全体感
この本は全体として、リアルな絵は
手順をしっかり守って入れば短時間で
限られた色の油絵具でも描けますよ。
というルールを徹底して紹介・解説した良い本だと思いました。
また、著者の大谷尚哉さんの作例もきれいで
とても腕のよい画家の方だと尊敬できました。
あれだけの少ない手数でリアルな絵を描けるのは
相当な手練れの方だなと思いました。
油絵中級者におすすめです
この本を読んでいて油絵を始めたばっかりの初心者というよりも
油絵をある程度こなしている
[su_highlight background=”#fbf808″]中級者におすすめの本[/su_highlight]だと言えます。この本を再現するためには
- 油絵具の混色理論について本を読まずに大体理解・実践できる
- 光の仕組みなどを理解している。
- 油絵具にある程度慣れている
- 形を短時間で取れる。
- 短時間で立体感を把握・表現できる
などの前提知識・技能が必要になるからです。
一日で描くや6色+白で描ける本格入門と聞くと
お手軽で簡単に始められるという印象でしたが、
実際はかなり難しいなと感じました。
なので、慣れるまでは2~3日かかる工程でした。
アラプリマという立体感と色彩を同時に描く
描き方をしているので
初心者が慣れるのには難しいです。
おすすめポイント
1.図版を多く掲載している
図版を多く掲載しており
カラー印刷なのでとても分かりやすかったです。
たまに技法書だと予算の都合上なのか
モノクロ印刷の場合があったり、
文章をミッチリつめたものがおおいので
読む人がある程度理解力が求められます。
その点ではこの本は油絵を学ぶ点において
分かりやすいと感じました。
2.色彩のルールが過不足なく説明されている
それぞれの油絵具を混ぜるとどんな色になるのかの説明が過不足なく
しっかりと説明をしているので、
自分で色々と考えて混色せずともある程度分かるようになっていたので、
油絵具の色の色見本もしやすいです。
ただ、色彩理論をある程度分かってないと
いざオリジナルの作品を描くときに
「この色とこの色を混ぜるとどうなるんだっけ?」
という風になります。
3.描き方のルールが統一されている
(明るいところから描く→暗いところを描くなど)
描き方のルールが統一されているので
読んでいてすらすらと理解できました。
4.演出についての解説がある
モチーフを演出するための箱(撮影ボックスのようなもの)
の作り方などの「ほお!その手があったか!」となる
知識もあって参考になりました。
他の技術書では、
バランスよく配置する
という表現でざっくりとしていたり
舞台装置や光の当たり方など表現が
曖昧で、再現不可能なものもありますが、
この著書では光や舞台装置の作り方があり
とても参考になりました。
注意点
この本で説明が欲しかったなというものは
- クサカベの油絵具に加えて、ホルベインで互換するなら何色になるのか。
- シルバーホワイトの代わりになるものはないのか
という点です。
私の場合、ホルベイン・クサカベの二社とも愛用していますが、
この本を読む方の中にはホルベインのみ
しか使わない(使えない)ひとがいるのではないか。
と感じました。
また、シルバーホワイトについては
昨今の環境保護の観点などから
懸念する方もいられるかと思ったので、
代用できる絵具も紹介・解説してあったらよかったのではないかと感じました。
ただこれらはやはり著書の文章構成や
ページの都合上などから
優先順位は低いので省略するのが
最も妥当だと考えます。
なので、当記事で私なりに補足の説明を
補足説明
この本ではクサカベ社の油絵具を使用していました。
ホルベインの油絵具の互換色名
ホルベイン社の油絵具を使用している人もいると思うので、互換として当記事を参考にしてください。
- ウルトラマリン
- クリムソンレーキ
- インディアンイエロー
- オリエンタルブルー
- キナクリドンマゼンタ
- パーマネントイエローライト
の6色が使われていましたが
ホルベイン社で揃えるなら
- ウルトラマリン
- クリムソンレーキ
- イエローオーカー
- フタロブルー
- キナクリドンマゼンタ
- パーマネントイエローライト
です。
オリエンタルブルーという油絵具の名前ですが、
端的に言ってしまえば
フタロシアニンブルー(フタロブルー)
のことですね。
なので、ホルベインのフタロブルーを使いましょう。
基本的には著書では
明るいところの三原色、暗いところの三原色の合計6色で描く。
というルールがあるのでホルベインでも
明るいところの三原色、暗いところの三原色で揃えれば
問題ないです。
イエローオーカーに関しては
ホルベインで該当する油絵具が存在せず
POPという油絵具のシリーズでしかなかったです。
(さらに言えばPOPという油絵具シリーズのインディアンイエローは
ホルベインのインディアンイエローとは違う顔料が使われています。)
なので、完全再現することはできません。
やはり、予算があるならクサカベのインディアンイエローだけは
購入したほうが良いでしょう。
ホルベインだけで揃えたい!
という方には妥協点としてイエローオーカー
(あるいはシェンナ系)の油絵具かなと
考えます。
シルバーホワイトの代用
シルバーホワイトの代用として
ストロングメディウムをおすすめします。
このメディウムはほとんど透明なもので、
乾燥速度が速まる上、チタニウムホワイトの強すぎる白色をおさえてくれます。
また、ラピッドメディウムというものがありますが、
あれは乾燥速度が速すぎるうえ、
油絵具の粘度が高くなるので、油絵具初心者にはあまりおすすめめできません。
以上が補足の説明・解説となります。
(補足説明・解説はあくまで個人的な意見なので、参考程度に聞いてくださいね。)
総評・まとめ
この本は
オススメするレベル | 中級者 |
オススメ度 | ☆☆☆☆ |
おすすめポイント | ・図版が豊富 ・理論やルールが統一されている |
ここには注意 | ある程度の知識が必要 ・混色のルール ・色や光のルール ・立体感や形を素早く ・きれいにとる技術 などが必要 |
という評価・レビューとなりました!
油絵を描くのが楽しい!
ある程度人に褒めてもらえるし
展覧会で入選できるレベルになってきた。
もうちょっと上手くなりたい!
表現の幅や知識をふやしたい!
というかたにはとてもおすすめできる油絵技法の本です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
本の情報
タイトル | 1日で描くリアル油絵の基本 6色+白だけで多彩に描ける本格入門! |
著者・編者 | 大谷尚哉 (著), 角丸つぶら (編集) |
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