こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回は数ある寓意(アレゴリー)の中でも家畜としてよく見る豚が絵画に出たときについて
一体どんな意味があるのか紹介したいと思います。
寓意(アレゴリー)って何?って方はこちらの記事がおすすめです。
それではよろしくお願いします。
豚が持つ象徴と寓意
動物が象徴(シンボル・アトリビュート)または寓意(アレゴリー)になる場合は、その動物の見た目や、習性から意味を取られる場合が多いです。
貪欲・淫欲の象徴
豚は野生の猪を家畜にして食料として生まれてきた生き物です。
豚はたくさんの餌を食べるので貪欲であるとされています。
またその貪欲さから、性に対しても貪欲
つまり淫欲の象徴として表現されています。
怠惰(たいだ)の象徴
またたくさん食べた後に横になって寝る姿から、
食べるか寝るかしない怠惰な生き物であるであるということから
怠惰の象徴とされています。
大食い・怠惰の人物のアトリビュート
絵画の中で登場する怠惰な人や大食いな人のそばには豚が描かれていることがあります。
これは、豚の近くにいる人が怠惰か大食いであることを表現しています。
なので、中世の絵画の中で豚を見つけたときには、それらの意味が含まれているかもしれません。
タブーの動物
豚はユダヤ教にとってタブーであるとされています。
旧約聖書のレビ記によると
豚、これは、ひずめが分かれており、ひずめが全く切れているけれども、反芻することをしないから、あなたがたには汚れたものである。
『旧約聖書 レビ記』第11章 8節
と記載されています。
つまり、豚はひづめは割れているけど反芻することができないどうぶつなので
けがれた不浄な生き物であることを旧約聖書では表記されています。
このことから、豚はタブーとされています。
この不浄さから上のような貪欲、淫欲、大食い、怠惰などのネガティブな意味が浸透しやすいのではないかと考えられます。
どうしてタブー視されたのかは
最後の「【番外編】どうして豚はタブー視されたのか」
で紹介したいと思います。
子孫繁栄・財産運
逆に子供をたくさん産むことや、まるまると太って蓄えることから
日本や中国ではポジティブな意味を持つ象徴となっています。
豚の貯金箱がありますが、あれはきっとお金がたくさんたまるということから来ているのではないかと想像できます。
まとめ
豚は食料として家畜化された身近な生き物ですが
歴史的な理由と、その行動からマイナスの面が強く出る動物です。
しかし、アジア圏ではポジティブな面もあるのですごく魅力的な動物だと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
猫にも意外な寓意が込められていることも知っていましたか?犬との違いを知ると楽しいですよ。
【番外編】どうして豚はタブー視されたのか
旧約聖書で名指しで不浄だと指摘された豚ですが
これにはきっと理由があるはずです。
食中毒防止
豚は、牛とは違い生で食べると食中毒を起こす可能性があります。
衛生観念がまだ乏しかった中世ヨーロッパでは
食べると病気になる動物(豚)=病気を運んでくる悪い生き物である
という考え方になったのではないでしょうか。
もしくは不浄な食べ物だということでそもそも食べないようにルールにしてしまえば、お腹がすいていても豚は食べないようになるかと考えたのかもしれません。
豚の食事
また、豚の食事も関係すると考えます。
豚は雑食で何でもよく食べますが、人間の食べ物と被ってしまいます。
そうなると人間の食べ物が減ってしまいます。
また、飼育するときの費用がかさばってしまうから禁止にしたのではないかと考えられます。
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