こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。
いつもユニークなびじゅチューン!ですが、今回の「デンタルクリニック死の島」はまさか建物の形が虫歯に見える➡デンタルクリニックがあるのではと想像するとは、、、
毎回井上涼さんの手腕に驚かされます。
今回はびじゅチューン!の「デンタルクリニック死の島」の元ネタとなった作品『死の島』について紹介したいと思います。
『死の島』について
この作品は1880年、スイスの画家アルノルト・ベックリンによって描かれた作品です。
この作品に描かれているものは岩の小島で、小さな船が白い女性を運んで、ちょうど島へ着こうとしている場面です。
中央には杉の木があり、左右の岩をよく見てみると建物の入り口があります。
『死の島』の解釈
この作品はタイトルにある様に「死」についての象徴が多くちりばめられています。(個人的解釈も含まれていますのでご了承願います。)
例えば岩に沿って建設されている建物は墓所(岩窟墓)です。つまり死者を葬る場所です。
また、白い布で覆われた人物の前に、白い布がかぶさった箱があります。これは棺です。
実際に17世紀ヨーロッパでは白色は喪の色でしたので、これが死者を墓所へ送っている、つまり死を象徴していることを裏付けます。
さらに小舟を漕ぐ人も死を象徴しています。これはギリシャ神話に登場するカローン(カロン)を連想するためです。
カローンは現世から冥界(死の世界)へ死者を送り届ける役割があり、その際小舟を使って死者を冥界へ送り届けます。日本でいうところの此岸から彼岸へ死者を送り届けているイメージです。
カローンと小舟はそのことから「死」を象徴しているのではないでしょうか。
さらに、全体を覆う黒の色も死を直接的に表現していると解釈できます。
1888年に『生の島』と呼ばれる死の島の対極的な作品を発表しました。この作品の色彩は豊かで明るいです。つまり豊かな色彩と対極である「黒」が死を象徴していることが想像できます。
黒々とした糸杉はどうでしょうか。糸杉は丈夫で腐りにくいため棺を制作する際にも用いられたり、キュパリッソスの逸話にも登場します。
キュパリッソスとはギリシャ神話に登場する美少年です。彼と仲の良かった鹿を誤って投げ槍で殺してしまい、永遠に悲しむことを神々に願いました。
神々はキュパリッソスの願いを聞き、彼を糸杉にしました。
また、イエスキリストの十字架も糸杉で作られたという話もあります。
このことから糸杉には「死」、「悲しみ」、「喪」の象徴とされています。
『死の島』を描いたベックリン自身はこの作品については言及していませんが、彼が神話や聖書を題材にした作品を手掛けている象徴主義の画家ですので、ギリシャ神話から「死」のモチーフを取っているのでしょう。
とても分かりやすいテーマからその当時人気があり、何と5種類もの『死の島』が描かれています。
5種類の『死の島』
5種類の『死の島』を古い順番から並べると
1880年バーゼル版はベックリンのパトロンのアレクサンダー・ギュンターのために描かれたものでした。
それをベックリンにアトリエに置いていると、アトリエに来たマリー・ベルナがその絵を見て感動し、上の1880年ニューヨーク版が制作されました。
三枚目の1883年は、画商のフリッツ・グルリットのために描かれました。
その後、生活苦のために1884年のものが描かれました。1884年の『死の島』は第二次世界大戦により焼失してしまい、モノクロの写真のみ現存しています。
最後の1886年は、ライプツィヒ美術館の依頼で1886年に描かれ、今もその場所に残っています。
どの『死の島』もほとんど同じ構図をしていますがサイズや技法などが異なっていることが見て取れます。
よく見てみると1883年、1886年の白い人が下のほうに視線を向けているように見えます。また1880年のニューヨーク版から、棺にかける花の装飾がわかりやすくなり、若干の変更が見られます。
1883年の作品は明るく、波が穏やかなため、神秘的な雰囲気を醸し出しているので、他と比べると異質です。
デンタルクリニック死の島の登場人物
さゆり
ビーナス委員長やさーちゃんと仲が良い
ボッティチェッリ高校に通う女子高生が登場しました。
まとめ
正直この作品も作者も知りませんでしたが、新しいことを知れたので良かったです。最後まで読んでくださりありがとうございました。
他にもびじゅチューン!の作品をまとめています。是非ご覧ください。
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