こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回は絵にたまに出てくる猫について紹介したいと思います。
最近は猫グッズがたくさん販売されていますよね。
私も猫を飼っているので、ついつい猫の絵を描いてしまったり、猫をテーマとした展覧会にはいくことがあります。
しかし、西洋では猫には隠された寓意(アレゴリー)や象徴があるのをご存知ですか。
寓意って何?という方は別の記事で紹介していますのでそちらをご覧ください。
それではよろしくお願いします。
猫の象徴(シンボル)と寓意(アレゴリー)
悪役・悪魔の化身
絵画に犬と並んでよく出る猫ですが、なんと悪役や悪魔の化身として表現されています。
猫は元来西洋東洋問わず、鼠を駆除するための家畜として飼われて、犬と並ぶ愛玩動物です。しかし、猫の飼い主に対して忠実ではなく自己中心的で気まぐれな行動があるため、ネガティブな印象を持つ場合もあります。
例えばロレンツォ・ロットの『受胎告知』では天使から逃げる猫が描かれています。これは猫が悪魔の化身であるから、天使や神から逃げるのです。
またニコラス・マースの『祈る老婆』では老婆が食事前の神へのお祈りの最中に猫が手を伸ばして食べ物を取ろうとしています。つまりこれは老婆の祈りの邪魔をする悪魔の死者であることが言えます。
肉欲・女性的な艶めかしさ
猫が発情するときの声や、交尾のどう猛さ、優雅でしなやかな動きからこの寓意が込められています。
例えばエドゥアール・マネ『オランピア』がこの意味を含んでいると考えます。
この作品の女性は当時の娼婦(首に付けたリボンとサンダルが目印)であり、そのそばに猫がいることから肉欲や艶めかしさを象徴しているのではないでしょうか。
また、『オランピア』の元ネタであるティツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』では貞節を意味する犬が眠っている=挑発的な女性であるということを表現しています。
この表現をエドゥアール・マネが解釈し押し進めたのが『オランピア』であるとすると、この猫は肉欲・艶めかしさを象徴していると言えます。
聖獣・神
逆に聖獣として猫があがめられている場合もあります。猫が鼠を捕り穀物を守ることやエジプト神話に猫の顔をした女神バステト(バスト)がいます。お墓に猫を一緒に埋葬することもあります。
このことから猫は聖獣あるいは神として表現しています。
また、猫はイシスの使いで殺すと死刑に処されたり、飼い猫が死ぬと飼い主は眉を剃って喪に服し、葬儀を行いました。
まとめ
猫の気まぐれな性格や行動、人との関わりによってシンボルや象徴が違う意味になるのに面白さがあります。
猫の有名な作品を下の記事で紹介しています。
また、犬の象徴と寓意との違いを見てみるとさらに面白くなりますよ。そちらのほうも見ていただけると幸いです。
私は猫を描いたら素晴らしい作家として大橋翠石を上げますがここでは出されていません。一度翠石の子猫の絵を見てみてください
コメントありがとうございます。
拝見させていただきました。
凄まじい実力ですね。
子猫もいいですし、虎も素晴らしいですね。
恥ずかしながら大橋翠石も知らなかったので、
すごく勉強になります。
水野元且さんありがとうございます。