猫の絵画。名画『オランピア』に描かれた黒猫の正体は?

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岩下幸円(イワシタコウエン)
愛知県在住の芸術家。 独学で絵を学びたい人に役に立つ情報をシェアしています。 色彩検定2級を取得。 小学校教諭一種免許を取得。 寝ている生物(特に猫)が好きです。

有名な絵画である『オランピア』の中に猫がいることをご存知ですか?

少し探してみて下さい。

 

 

 

ほらここに猫がいます。

なぜこんなところに猫がいるのでしょうか。

女性が飼っていたから?

いやいや、実は猫にはある隠されたある闇の意味があるんです。

『オランピア』を読み解きながら猫の正体を探っていきましょう。

猫で読み解く「オランピア」の正体

オリンピアとは

作品名オランピア
作者エドゥアール・マネ
制作年1863年
種類油彩・カンヴァス
所蔵オルセー美術館

『オランピア』はフランスの画家のエドゥアール・マネによって描かれたものです。

裸体の女性が横たわり、召使が花束を渡そうとしている場面です。

この作品をフランスの展覧会「サロン」に発表したとき大きな批判を受けました。

どうして『オランピア』は批評を受けたのでしょうか。

裸の「女性」がいけないから

『オランピア』が発表されていた当時のフランスでは、

裸の女性を描くこと自体がタブーとされていました。

だけど結構女性の裸の絵が描かれています。

こういう風に描かれています。

こうやって見ると、『オランピア』普通じゃないの?

と思いますが、『オランピア』だけはだめだったわけです。

なぜなら、裸の「女性」だったからです。

他の作品で描かれる裸の女性は実は、「女神」として描かれています。

つまり、裸は禁止だけど神様(女神)ならOK!という、なんだか抜け道みたいな理由で女性の裸が公然と描かれていたわけです。

では『オランピア』が人間の女性であることとされていたのでしょうか。

オランピアの服装

この作品に描かれている女性は、裸ですが、よく見てみると装飾品を付けています。

真珠のイヤリングやチョーカーの装飾品。

腕には金属製の腕飾り。

足にはサンダル(ヒール)を履いています。

これらのアクセサリーは、当時の神様はほとんど身に付けず

このようなアクセサリーを身に着けるのは「人間」だけだ!

という理論になるわけです。

だから、『オランピア』は人間の女性の裸を描いているから、批判の対象になったわけなんですね。

猫は○○を意味している

そして、さらに言えば、このようなアクセサリーは当時の「娼婦」しか身に着けていませんでした。

この理由も相まって、この作品は批判の対象となりました。

では、猫は一体何を意味しているのか。

それは「肉欲・女性の艶めかしさ」の象徴を意味しているからです。

猫は発情するときにけたたましく鳴きます。(うちで飼っている猫も発情期に入るとすごい声を出します。)

また、優雅でしなやかな曲線のような猫の動きから、魅力的な女性の意味があるのです。

いわゆる男性をとりこにする「魔性の女」を象徴するわけですね。

このことから、猫=肉欲・女性の艶めかしさ

という式が成り立ちます。

そして、娼婦も肉欲や男性をとりこにする魔性の女ですので、さらに娼婦であることを猫が強調しています。

なので、『オランピア』には猫が描かれているんですね。

ちなみに『オランピア』は元ネタがありますが、これは記事最後の「ちょっとこぼれ話」で紹介したいと思います。

まとめ

『オランピア』に描かれた猫は肉欲・艶めかしさを象徴しており、

「女性の裸」に加えて、「娼婦の裸」を描いたという当時のタブーを破った絵画作品です。

このように読み解くと、猫が描かれている、とただ単純に猫が描かれているなあ

と言うよりも「なぜ描かれているのだろうか」と一度考えるとますます絵が面白くなりますね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

猫は他にも意味があります。

猫って「肉欲・艶めかしさ」だけの意味だけではありません。

他の意味は別記事で掲載しています。

実はイエス・キリストの敵として見られる場合もあるんです。

猫の成分が欲しい方は、他の記事に猫記事ありますよ!

ちょっとこぼれ話

『オランピア』の元ネタはティツィアーノの『ウルビーノのヴィーナス』があります。

この作品の構図、めちゃめちゃ似ていますよね。

猫のいたところには眠っている犬がいます。

この犬は「誠実・節制」を象徴しています。

しかしそれが寝ているので、寝ている誠実・節制と言うことは「不誠実・不節制」であることが分かります。

そしてその隣には裸の女性が描かれております。

女性が不誠実・不節制であるので、これは猫と似たような意味「不貞や不貞操」を意味するわけですね。