混色と重色の違いって何?特徴やメリット・デメリットも紹介します。

混色と重色って聞いたことはあるけど一体どんな違いがあるのでしょうか。

この二つの違いを知ることであなたの作品がぐぐっとレベルアップします!

今回はそんないまいちワカラナイ混色と重色の違いや特徴、

意外と知られていないメリットやデメリットを解説していこうと思います。

それではよろしくお願いします。

混色と重色の違い

混色(こんしょく)と重色(ちょうしょく)の違いとは一体何でしょうか。

まず結論だけ言えば

[su_highlight background=”#fbf808″]混色は混ぜた色[/su_highlight]のことで

[su_highlight background=”#fbf808″]重色は重ねた色[/su_highlight]のことです。

端的に言うとこうなります。

例を挙げて混色と重色の違いを紹介します。

混色と重色の具体例

今回はオレンジを例に混色と重色の違いを見ていきましょう。

オレンジを他の色で作る場合

どんな色を使うかご存知でしょうか。

黄+赤

ですよね。

ではこの黄と赤を使って混色と重色の違いを解説していきましょう。

色を混色でつくる場合

混色の場合は、

絵具のチューブから出した黄色と赤をパレットで混ぜていきます。

そうするとだんだんとオレンジ色になってきます。

これをキャンバスや紙に塗ることでオレンジを表現しています。

このように

色と色を混ぜて色を作ることを混色

といいます。

色を混ぜるから混色

ですね。

では重色の場合はどうでしょうか。

色を重色でつくる場合

重色の場合、混色と違ってパレットで混ぜません。

はじめにキャッバスや紙に赤を塗ります。

その赤色が乾燥した後に、透明な黄色を重ねてみます。

そうすると重なったところがオレンジ色になっているのが分かります。

このように

色の上から色を重ねて色を作ることを重色

と言います。

色を重ねるから重色

というわけです。

このことから記事の冒頭で言ったように

混色は混ぜた色のことで

重色は重ねた色のこと

という違いがあると説明しました。

混色のメリット・デメリット

混色と重色の違いは分かったと思いますが、

じゃあなんで油絵やアクリル画、水彩画などを描くときに

二つの種類を使う必要があるのでしょうか。

それには混色と重色それぞれにメリットとデメリットがあるからなんですね。

混色のメリット(長所)

混色のメリットは

  • 事前に色が分かる
  • 重い色が表現できる

という点があります。

混色の場合、事前にパレットで色を混ぜて、その後紙やキャンバスに塗るので、

ねらった色と実際の色がずれることがほとんどないです。

もちろん混色のテクニックを覚える必要がありますが、一度覚えてしまえば

ねらった色をパパっと頭の中で大まかに作ることができます。

混色の理論が必要ですが、混色はほとんどの絵を描く方はマスターしたい技法ですね。

混色の理論については下の記事で紹介しています。

もう一つのメリットとしては重い色が表現できるという点があります。

緑色の絵の具の場合、絵具に含まれている緑の成分が単一なので、どうしても単調な色になってしまいます。

一方混色で作った緑の場合、黄色や青の成分を混ぜた色になるので、重い色の表現になります。

混色のデメリット(短所)

一方混色のデメリットは

  • ニュアンスが出しにくい
  • 色が濁る

という点が挙げられます。

一つ目のニュアンスが出しにくいというデメリットは赤色を例に説明します。

明るい赤色から暗い赤色の諧調が必要だとしましょう。

その場合、赤色に黄色を混ぜて明るい諧調を

2~3段階作り

赤色に茶色を混ぜて暗い諧調を

2~3段階作ります。

その後画面に乗せていきますが、

どうしてもその諧調と諧調のあいだが段々になってしまいます。

このデメリットは油絵具やアクリル絵具の場合は

特殊な筆を使って滑らかなグラデーションにすることで解決できます。

しかし、あと少しここを強調したい。

もう少し明るい色調にしたい。

鮮やかにしたい。

というときには混色ではなく重色が活躍します。

もちろん混色のみでニュアンスまで丁寧に仕上げる画家もいますが、

相当なテクニックが必要です。

また、混色することで色が濁りやすいというものもあります。

緑を作るときに黄色と青色の絵の具を混色しますが、実際作ってみるとなんだか濁った緑色(あるいは灰色)になる場合があります。

これは絵の具の色が純粋な、赤、黄、青、緑ではなく、それらの色が複雑に絡み合っているので起こる現象です。

先ほどはメリットで紹介しましたが、

意図しない色の変化の場合はデメリットになってしまうわけですね。

これについても混色についての理論や知識、経験が必要になっていきます。

これは慣れないうちにはどうしても混色では起きてしまうデメリットです。

混色のおすすめの使い方

混色のデメリットメリットを紹介しましたが、

油絵具やアクリル絵具、水彩絵の具などで

混色で色を作り、絵を描くときには

下地の段階や大まかな色をのせるときに使います。

混色の場合、大量に同じような色を作ることもできるので、

大まかな色をガシガシとキャンバスの上に塗ることができます。

また、失敗しても塗りつぶして形を変えることもできるので、

下地や下絵の段階では混色で作った色をのせて絵を描いていくのがおすすめです。

これを仕上げまですべて描き切るにはかなりのコツが必要で

絵画技法的にはアラプリマという技法が例として挙げられます。

重色のメリット(長所)

では重色のメリット、デメリットを紹介していきます。

まず重色は

  • 深い色が表現できる
  • ニュアンスが表現しやすい

という2つのメリットがあります。

一つ目の深い色が表現できるというのは混色の場合と比べてみると

混色は黄色と赤色を混ぜてそのままオレンジが表現されます。

一方重色の場合、黄色の上から赤色を重ねると

それぞれの色で筆ムラや塗膜の厚み、透明度などで微妙な色の差が生まれます。

それらが半透明の膜で重なるので、

光学的にみてもかなり複雑な色合いになります。

つまり豊かで複雑な色が表現しやすい

というわけですね。

もうひとつ目のニュアンスが表現しやすい

という点も重色のメリットとして挙げられます。

例えば、オレンジ色をもう少し黄色よりにしたい。

赤よりのオレンジにしたいなと思ったときに、

半透明の黄色や赤色で薄く重色した場合、

赤よりのオレンジ、黄色よりのオレンジと

微妙なニュアンスを表現することができます。

このようなメリットを重色は持っています。

重色のデメリット(短所)

一方重色のデメリットは

  • 暗くなりやすい
  • 思い通りの色になりにくい

の2点が挙げられます。

重色の暗くなりやすいというデメリットは

オレンジを作る場合において、混色の場合は一層重ねればオレンジを表現できますが、

重色の場合、二層重ねてオレンジを表現するので、

その分厚みができてしまい(光の反射率が低くなり)、

混色と比べて、暗くなりやすいというデメリットがあります。

また、思い通りの色になりにくいというのも

重色のデメリットとして挙げられます。

これは混色で説明したことと逆になりますが、

パレットで色を確認することができず、

実際に重ねてみないと色が分からないためです。

これらは色見本を作ることで解決することができます。

この重色の特徴を最大限に使った技法としてグレーズ技法というものがあります。

重色のおすすめの使い方

基本的には重色は仕上げの段階で使うことが多いです。

混色と違い、大きく形を変える効果を持っていませんので、

微妙なニュアンスを表現する仕上げの段階で重色を使うと

効果的な使い方ができます。

まとめ

今回は混色と重色の違いについて紹介しました。

混色は重い色調表現ができ

重色は変化に富んだ深い色を表現することができます。

それぞれのメリット・デメリットがありますが、

ほとんどの場合、この二つを自然と活用していると思います。

この記事ではあえて、混色と重色の違いに触れて

どうして混色と重色を使い分けているのかを

知るきっかけになってくれればと思い、書かせていただきました。。

混色と重色のそれぞれの良さを作品に生かしていきましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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