油絵の画家の職業病は何がある?知らないうちに中毒症状になっていた!?

ABOUT US
岩下幸円(イワシタコウエン)
愛知県在住の芸術家。 独学で絵を学びたい人に役に立つ情報をシェアしています。 色彩検定1級を取得。 小学校・中学校教諭一種免許を取得。 寝ている生物(特に猫)が好きです。

みなさんこんにちは、岩下幸圓(イワシタコウエン)です。

職業病ってありますよね。

デスクワークの腰痛

土木作業員の熱中症

漆職人の漆かぶれ

会社員から職人まであらゆる人が職業病に悩まされています。

油絵を描く画家もある職業病にかかっていたことをご存知でしょうか。

画家の職業病

腱鞘炎(けんしょうえん)

これは絵を描いている人なら誰しもがなる病気ですね。

同じ動作を繰り返し行うことで、手首の腱とそれを包む腱鞘(けんしょうが擦れあって炎症が起きる病気です。

現在ではアニメーターやイラストレーターもかかりやすいですね。

画家もこの職業病になります。

私も絵を10時間以上絵を描くことがありましたが、

4日目くらいから腕が痛くてしばらく絵が描けませんでした。

絵を描くのは楽しいですが、ほどほどにしたほうがいいですね。

腱鞘炎を防ぐために時々休憩を挟んだり、ストレッチするのが良いそうです。

眼精疲労(がんせいひろう)

眼精疲労もよくあります。

目頭が痛くなったり、画面がぼやけたりします。

これも腱鞘炎と同じく画家はもちろんのこと、会社員もなる職業病ですね。

鉛中毒(なまりちゅうどく)

意外かもしれませんが、19世紀頃までの画家たち(特に油絵)は鉛中毒になっていたと言われています。

なぜ鉛中毒になっているのか。

この鉛中毒の原因は油絵具にもあるシルバーホワイト(PW1)が原因だと言われています。

シルバーホワイト

シルバーホワイトは、日本語に直すと鉛白、つまり白色の鉛という意味になります。

鉛を酸化させると、白いサビができます。

その白いサビのことをシルバーホワイトといい、油絵具で使用されています。

現在では海外メーカーの油絵の具ではほとんど製造されていません。

日本のメーカーでは、まだまだ、製造されているものです。

鉛中毒になると人格が変わったり、頭痛、めまい、歩行障害、嘔吐や痙攣けいれんなどとにかくたくさんの症状が出ます。

このような鉛中毒の症状を当時は「画家疝痛(せんつう)」と呼ばれるくらい画家の職業病だと考えられていたんですね。

この鉛中毒にかかったと言われる画家は何人かいます。

フランシスコ・デ・ゴヤ

ゴヤは18世紀後半から19世紀初頭に活躍したスペインの画家です。

ゴヤのパレットにシルバーホワイトと思える絵具が乗っています。

ゴヤはシルバーホワイトの油絵具を指で直接塗り付けるという描き方もしていました。

それが原因なのか、ゴヤは手が震えたり、失明したり、めまいなどの症状がありました。

これも鉛中毒の症状とよく似ています。

引用元

彼の自画像では、医師がゴヤを支えており、彼の体がボロボロになっていることがよくわかります。

ミケランジェロ・ブオナローティ

ミケランジェロはイタリアルネサンスを代表する万能の天才と呼ばれる画家です。

同時期に活躍したラファエロ・サンティが描いたのフレスコ画「アテネの学堂」の左下に描かれています。

そんな彼の様子を見てみると、彼は座り込んでおり、膝の関節が変形しています。

これは関節炎ではないかと考えられています。

そして彼は晩年失明してしまうという症状が出ています。

彼の症状も鉛中毒が原因ではないかと言われています。

これはシルバーホワイトの他にも、鉛のコップでワインを飲んでいたという当時の習慣も原因だったのではないかと言われています。

鉛のコップでワインを飲むとワインが甘くなると言われていたからです。

実際、ベートーベンも鉛のコップでワインを飲んでいたらしく、彼の遺髪からは通常よりも多い鉛が検出されていることから、彼も鉛中毒だといわれています。

彼も鉛中毒の症状である、頭痛や神経痛に悩まされていました。

フィンセント・ファン・ゴッホ

ゴッホはオランダを代表するポスト印象派の画家です。

持病の精神病に加えて、鉛中毒の症状が出ているのではないかと考えます。

彼のパレットを見ると、鉛白と思われる絵の具が見て取れますし、

生前の彼を知る人からは、あまり身なりを気にしないタイプだと言われています。

このことから、常に鉛白が皮膚や服についた状態で生活していたのではないかなと考えられます。

その手でパンを食べていたら、直接鉛白を食べていたことになりますね。

彼を入れるべきかどうか悩みましたが、読んでいる方は参考程度にして聞いてくださいね。

よく芸術家は変わり者が多いと世間では言われていますが、

鉛中毒が原因の症状で苦しんでいる人もいたかもしれませんね。

現在だと油絵具で鉛中毒にはなるのか

現在では、油絵具のシルバーホワイトで鉛中毒になるという事例はあまり聞きません。

昔の油絵の画家を含む画家の人たちが鉛中毒になったのは

鉛白の白い塊を砕いて顔料にしていたためだと考えられます。

また鉛白(シルバーホワイト)を油絵の具ではなく、粉末のまま使用していたからだと考えられます。

キャンバスやパネルの地塗りをする際に鉛白を混ぜていたので、その段階でも吸引します。

また、いまのチューブ入りの油絵具の前は粉末の鉛白と油を画家たちが自作していたので、そのときにも吸引します。

とにかく昔は鉛白を粉のまま使用する機会が多いわけですね。

また、鉛白自体が身近な存在で毒性があるのが知られなかったということもあります。

エリザベス一世の化粧では鉛白を使用していましたし、中世ヨーロッパでは当たり前のように女性たちは鉛白を顔に塗っていました。

そんな理由から、昔は鉛中毒になりやすかったのではないでしょうか。

まとめ

油絵の画家は油絵具にも使用されている鉛白シルバーホワイトが原因で鉛中毒になっていたと言われています。

昔は油絵具を自作していたり、下地に混ぜたりしていたので、その過程で鉛白を吸引する機会が多買ったです。

また、その時代では、鉛のコップにワインを入れて飲んでいたり、

肌を白くするための化粧として鉛白を使用していたので、それらも鉛中毒の原因と言われています。

シルバーホワイト以外にも危険な油絵具があることをご存知でしょうか。

油絵に興味がある人

油絵を描いている人ならきっと知っていますよね?

最後までご覧いただきありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です