ベクシンスキーという画家をご存知でしょうか。
三回見たら死んでしまうという恐怖の絵として
都市伝説になりました。
ちなみに下の絵です。
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/002446.jpg)
ベクシンスキーってどんな画家
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/337px-Zdzislaw_Beksinski_in_Sanok-crop.jpg)
ベクシンスキーは本名ズシンスフワ・ベクシンスキ
またはゾディソワフ・ベクシンスキーです。
彼の描く絵はネガティブな印象を持つ
死や絶望、退廃、終焉など不気味なものをモチーフとしています。
しかし、個人的には、ただ単純な不気味さではなく
美しさが存在する作品を多く描いている画家と思います。
一方で性格は人当たりがよく、少し内向的だと言われています。
政治やマスコミ、他の芸術に触れることを嫌っていたそうです。
ベクシンスキーの生涯
1929年、彼はポーランドの南東部に位置するサノクに生まれます。
少年時代にナチス・ドイツのポーランド侵攻を経験しています。
1952年、工業大学を卒業したのち、
建築会社で現場監督をしますが不満に思い
仕事の合間には
モンタージュ合成した写真や、彫刻、絵画などを
建築現場の素材を使いながら作品を製作していました。
その後彼は芸術家に転身します。
ベクシンスキーは画家として有名ですが
最初は写真家や彫刻家として活躍していました。
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/Autoportrait_by_Zdzislaw_Beksinski_1956-57.jpg)
1955年から1959年の間には写真家・画家として活躍し始めます。
1957年から1963年には
ZPAP(ポーランド芸術家・造形家連盟)の会員として
登録されています。
彼の最初の写真の作品個展は
1958年に開催し
その中には『サディストのコルセット』という写真の代表作品を発表しました。
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/beksinski-gorset-sadysty_5959319.jpg)
他にもフォトモンタージュなどで写真の可能性を広げましたが
写真の表現に限界を感じたベクシンスキーは
絵画作品を描くようになります。
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/519px-Untitled_drawing_by_Zdzislaw_Beksinski_1958.jpg)
1964年の初個展では、全作品に買い手がつきすぐにポーランドの代表的な画家として一躍有名になりました。
いわゆる完売画家なんですね。
その当時は抽象画を描いていましたが、
この年代を境に退廃や破壊と言ったネガティブなものを
モチーフにゴシック的なベクシンスキーの画風に移行していきました。
1998年、妻が亡くなり
1999年のクリスマスイブにはトマシュ・ベクシンスキーが
薬物の過剰摂取で自殺します。
その時の彼はそれを受け入れることはできず
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/tegami-dfa.jpg)
もし私が死んだときに備えて
Tomek(息子の愛称)へ
といなくなった息子への手紙を壁にピンでとめていました。
精神的にかなり疲弊しています。
2005年2月22日、ベクシンスキーは自宅で頭部と胸部を何度も刺され
殺害されているのが発見されています。
犯人は生活の世話をしていた長年の友人の息子が主犯でした。
動機は借金の頼みを断ったためと考えられます。
ベクシンスキーの画風・絵画作品
ベクシンスキーの画風は
モチーフとしては、死や絶望、退廃、廃墟、終焉
表現方法としてはバロックやゴシック風の技法に
シュールレアリスムを加えたような表現です。
そんな彼の作品を一部紹介させていただきます。
無題
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/002446-1.jpg)
記事先頭でも紹介した作品です。
三度見たら死ぬという都市伝説がある作品です。
バロック時代のような過剰で曲線が多い装飾がある椅子に
少女の頭部、鏡と思われる椅子の背中には
海岸が見えます。
背景には今にもなくなりそうな湖のようなものがあります。
無題
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/717px-AA78_by_Zdzislaw_Beksinski_1978.jpg)
1978年に制作されたこの作品もとても
不思議な風景をしています。
背景は草原と夜空で
ドアと窓の風景は海岸と月や星が見える夜空です。
ゴシック建築を思わせる建物には
赤黒いツル系の植物がはっています。
無題
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/685px-Untitled_painting_by_Zdzislaw_Beksinski_1984.jpg)
この作品は1984年に制作されたものです。
二人の人間が固く抱き合い、一つの塊のようです。
背景には何も存在せず
二人の人間の細部の描写が際立ちます。
肉感や骨格から右が男性
左が女性だと考えられます。
下の動画はベクシンスキーの制作風景が見られます。
ベクシンスキーの画集
ベクシンスキーの画集は
が日本語の補強版としてあります。
ベクシンスキーの作品をしっかりと見たい場合
「ベクシンスキー作品集成」というものが3巻発売されています。
ベクシンスキーの様々な画材や技法を見ることができるので
ベクシンスキーファンにはたまらない作品集です。
ベクシンスキーの作品は日本にある?
ベクシンスキーの作品を生で見たい!
と思い、私個人もいろいろと調べてみましたが、
日本には現存していないそうです。
こぼれ話
日本がバブルの時に日本人がたくさんのベクシンスキー作品を
購入し、大阪で東欧博物館を開きました。
(現在は閉館しています。)
展覧会の目録もあるので
確かにベクシンスキーの作品は日本に現存していたという
証拠があります。
2022年現在もその日本人と共に行方不明だそうです。
ベクシンスキーの作品はどこの美術館で見られるの?
ベクシンスキーの作品は
ベクシンスキーの出身地ポーランドの
サノクやチェンストホーバ、グロツワフの美術館で展覧されています。
下はその中のひとつベクシンスキーギャラリーについて少し載せておきます。
![](https://0plusart.com/wp-content/uploads/2023/01/logo.png)
名称 Galeria Zdzisława Beksińskiego w Krakowie(Nowohuckie Centrum Kultury )
場所 al. Jana Pawła II 232, 31-913 Kraków, ポーランド
料金 大人10ズロチ(約300円)
画像はGaleria Zdzisława Beksińskiego w Krakowieの公式ホームページから引用しています。
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