ベクシンスキー「終焉の画家」と呼ばれた彼の絵や画集・美術館を紹介

ベクシンスキーという画家をご存知でしょうか。

三回見たら死んでしまうという恐怖の絵として

都市伝説になりました。

ちなみに下の絵です。

ベクシンスキーってどんな画家

ベクシンスキーは本名ズシンスフワ・ベクシンスキ

またはゾディソワフ・ベクシンスキーです。

彼の描く絵はネガティブな印象を持つ

死や絶望、退廃、終焉など不気味なものをモチーフとしています。

しかし、個人的には、ただ単純な不気味さではなく

美しさが存在する作品を多く描いている画家と思います。

一方で性格は人当たりがよく、少し内向的だと言われています。

政治やマスコミ、他の芸術に触れることを嫌っていたそうです。

ベクシンスキーの生涯

1929年、彼はポーランドの南東部に位置するサノクに生まれます。

少年時代にナチス・ドイツのポーランド侵攻を経験しています。

1952年、工業大学を卒業したのち、

建築会社で現場監督をしますが不満に思い

仕事の合間には

モンタージュ合成した写真や、彫刻、絵画などを

建築現場の素材を使いながら作品を製作していました。

その後彼は芸術家に転身します。

ベクシンスキーは画家として有名ですが

最初は写真家や彫刻家として活躍していました。

1955年から1959年の間には写真家・画家として活躍し始めます。

1957年から1963年には

ZPAP(ポーランド芸術家・造形家連盟)の会員として

登録されています。

彼の最初の写真の作品個展は

1958年に開催し

その中には『サディストのコルセット』という写真の代表作品を発表しました。

サディストのコルセットhttps://culture.pl/plから引用

他にもフォトモンタージュなどで写真の可能性を広げましたが

写真の表現に限界を感じたベクシンスキーは

絵画作品を描くようになります。

1964年の初個展では、全作品に買い手がつきすぐにポーランドの代表的な画家として一躍有名になりました。

いわゆる完売画家なんですね。

その当時は抽象画を描いていましたが、

この年代を境に退廃や破壊と言ったネガティブなものを

モチーフにゴシック的なベクシンスキーの画風に移行していきました。

1998年、妻が亡くなり

1999年のクリスマスイブにはトマシュ・ベクシンスキーが

薬物の過剰摂取で自殺します。

その時の彼はそれを受け入れることはできず

もし私が死んだときに備えて

Tomek(息子の愛称)へ

といなくなった息子への手紙を壁にピンでとめていました。

精神的にかなり疲弊しています。

2005年2月22日、ベクシンスキーは自宅で頭部と胸部を何度も刺され

殺害されているのが発見されています。

犯人は生活の世話をしていた長年の友人の息子が主犯でした。

動機は借金の頼みを断ったためと考えられます。

ベクシンスキーの画風・絵画作品

ベクシンスキーの画風は

モチーフとしては、死や絶望、退廃、廃墟、終焉

表現方法としてはバロックやゴシック風の技法に

シュールレアリスムを加えたような表現です。

そんな彼の作品を一部紹介させていただきます。

無題

記事先頭でも紹介した作品です。

三度見たら死ぬという都市伝説がある作品です。

バロック時代のような過剰で曲線が多い装飾がある椅子に

少女の頭部、鏡と思われる椅子の背中には

海岸が見えます。

背景には今にもなくなりそうな湖のようなものがあります。

無題

1978年に制作されたこの作品もとても

不思議な風景をしています。

背景は草原と夜空で

ドアと窓の風景は海岸と月や星が見える夜空です。

ゴシック建築を思わせる建物には

赤黒いツル系の植物がはっています。

無題

この作品は1984年に制作されたものです。

二人の人間が固く抱き合い、一つの塊のようです。

背景には何も存在せず

二人の人間の細部の描写が際立ちます。

肉感や骨格から右が男性

左が女性だと考えられます。

下の動画はベクシンスキーの制作風景が見られます。

ベクシンスキーの画集

ベクシンスキーの画集は

増補新装版 ベクシンスキー (パン・エキゾチカ)

が日本語の補強版としてあります。

ベクシンスキーの作品をしっかりと見たい場合

「ベクシンスキー作品集成」というものが3巻発売されています。

ベクシンスキーの様々な画材や技法を見ることができるので

ベクシンスキーファンにはたまらない作品集です。

ベクシンスキーの作品は日本にある?

ベクシンスキーの作品を生で見たい!

と思い、私個人もいろいろと調べてみましたが、

日本には現存していないそうです。

こぼれ話

日本がバブルの時に日本人がたくさんのベクシンスキー作品を

購入し、大阪で東欧博物館を開きました。

(現在は閉館しています。)

展覧会の目録もあるので

確かにベクシンスキーの作品は日本に現存していたという

証拠があります。

2022年現在もその日本人と共に行方不明だそうです。

ベクシンスキーの作品はどこの美術館で見られるの?

ベクシンスキーの作品は

ベクシンスキーの出身地ポーランドの

サノクやチェンストホーバ、グロツワフの美術館で展覧されています。

下はその中のひとつベクシンスキーギャラリーについて少し載せておきます。

名称 Galeria Zdzisława Beksińskiego w Krakowie(Nowohuckie Centrum Kultury )
場所 al. Jana Pawła II 232, 31-913 Kraków, ポーランド
料金 大人10ズロチ(約300円)

画像はGaleria Zdzisława Beksińskiego w Krakowieの公式ホームページから引用しています。