びじゅチューン!住んでます八橋蒔絵硯箱「八橋蒔絵螺鈿硯箱」の解説

こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回はびじゅチューン!の「住んでます八橋蒔絵(まきえ)硯箱(すずりばこ)」の元ネタである「八橋蒔絵螺鈿硯箱」を紹介したいと思います。

動画はこちらです→住んでます八橋蒔絵硯箱

概要

八橋蒔絵螺鈿硯箱は18世紀の日本(江戸時代)に作られた木製漆塗りの二段硯箱です。国宝に指定され作者は『燕子花図屏風』で有名な尾形光琳作とされています。

東京国立博物館

八橋蒔絵螺鈿硯箱のモチーフ

硯箱に描かれているものは『伊勢物語』第9段の「八橋」の場面と平安初期に編纂された和歌集『古今和歌集』の中にある和歌

唐衣 着つつなれにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ

『古今和歌集』作者不詳ー在原兼平が作者とされている

から引用しています。

鈴木春信作『八ツ橋』

この歌は三河の八橋と言うところで詠まれたと言われています。八橋に沢に燕子花(カキツバタ)が美しく咲いているところを見て、旅の気持ちを詠んだ歌です。(ちなみに、俳句の頭文字をくっつけると「かきつはた」となる洒落も入っています。)

その和歌をモチーフとしていますので螺鈿で燕子の花弁、金で燕子花の葉と茎、橋を鉛の板、漆の部分を水面として表現しています。

貝殻の内側にある真珠層が螺鈿に使われます

大胆で装飾的、リズミカルな表現は尾形光琳らしい表現と言えるでしょう。

尾形光琳作『燕子花図屏風』

八橋蒔絵螺鈿硯箱の構造

縦273mm×横197mm×高さ142mmの長方形。 

角を丸く取り、ふたが本体よりも大きい被せる蓋の作りをしています。

二段重ねで上を硯箱にして硯と水滴(墨の濃さを調整する道具)を入れ、下には紙を入れる箱(料紙箱)になっています。また内部には黒漆の地に金色の波を描いています。

八橋螺鈿硯箱の構造
八橋蒔絵螺鈿硯箱被せ蓋 引用元:東京国立博物館研究情報アーカイブズ
八橋蒔絵螺鈿硯箱下段 引用元:東京国立博物館研究情報アーカイブズ
八橋蒔絵螺鈿硯箱全体 引用元:東京国立博物館研究情報アーカイブズ

まとめ

八橋蒔螺鈿絵硯箱は和歌などの伝統的なモチーフを使った斬新な装飾美を凝縮した尾形光琳の作品です。

みなさんもBlack&Golden Boxの世界を楽しんでくださいね。

補足

「トーハク×びじゅチューン!なりきり日本美術館リターンズ」が開催され、本物の八橋蒔絵硯箱を井上涼さんが見に行っている動画を見つけました。

そちらも是非ご覧ください。

音楽はこちら→住んでます八橋蒔絵硯箱

他にもびじゅチューン!に関わる作品を紹介しています。そちらも合わせてご覧ください。

最後まで読んでくださりありがとうございました。