みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回はびじゅチューン!『ひそひそと、秘儀の間で』の元ネタ(モデル)『秘儀荘/秘儀の間』を紹介したいと思います。
秘儀の間っていったいどこにあるの?何をモチーフに描かれているの?など解説していこうと思います。
それではよろしくお願いします。
秘儀荘(ひぎそう)とは
タイトル | 秘儀荘/秘儀の間 |
作者 | 不明 |
制作年 | 西暦79年以前 |
材料/技法 | 壁画/フレスコ |
寸法 | 不明 |
所蔵 | ポンペイ遺跡、世界遺産 |
正式名称は「ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域」ですが、ここでは「ポンペイ遺跡」と省略します。
この作品は実はポンペイ遺跡に存在する壁画(フレスコ)です。
ポンペイは西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火による火山灰によって埋められた伝説の都市です。
ではポンペイに眠る『秘儀の間』の壁画群を紹介しましょう。
秘儀荘/秘儀の間の壁画のモチーフ
秘儀荘/秘儀の間の壁画について様々な解釈がありますが、宗教的儀式がストーリーと共に描かれていることが通説とされており、神秘的な通過儀礼ではないかと言われています。
第一の壁画
最初の壁画には、ヴェールを被った女性がいます(彼女が儀式を受ける人です。ここでは「主人公」とします。)
主人公と玉座に座っている女神官との様子が描かれています。
裸の男の子はデュオニッソスと推定できます。(当時裸のものは神聖なものとして描かれました。)
ここで描かれている場面は主人公が玉座に座る女神官に対して、通過儀礼の心構えや信仰などを聞いているという場面が想像できます。
主人公はヴェールを脱いで、ローブを身にまとい、キンバイカの冠を被っています。手には月桂樹の枝、ケーキが乗ったトレイを持っています。
彼女は第二の場面へと進んでいきます。
第二の壁画
2番目の壁画には女神官が儀式の準備をしているシーンです。
女神官はベンチに座り、左には布で隠されたバスケット、右にはお酒を注いでいる女性がいます。
第三の壁画
3番目の壁画には、竪琴を弾いているシレノス、岩に座りフルートを弾くファウヌス、ヤギに授乳させる女性のパンが描かれています。
彼らはとても多くの知恵を持った人(神様)たちで、主人公に多くの予言や助言をしているのではないでしょうか。それらの助言を音楽(楽器)にみたてているのです。
そして彼らは主人公の今の意識を、新しい意識に変えさせようとしています。
第四の壁画
第4場面では、それらに驚いて逃げ出しそうな主人公がいます。これは彼女が第三場面で受けた助言や予言を受け入れることができず、逃げ出していると考えられます。
そして、その後起こるであろう恐怖や痛みなどの試練から逃れようとしているのではないでしょうか。
第五の壁画
彼女が恐怖で見つめる先には第5の壁画があります。
左側ではシレノスがおびえて逃げ出そうとしている彼女を見つめています。
ファウヌスが銀のツボをのぞき込んでいます。その後ろには恐ろしい仮面を持ったファウヌスがいます。
第六の壁画
右側で横たわっている男性はデュオニッソスと推定され、彼の隣で座っているのは女神アリアドネまたはセレメーです。
第七の壁画
第7場面、右側には黒い羽根の天使が鞭を打つように腕を振り上げています。
主人公はひざまずいてその天使を見つめ、布のようなものを取ろうとしているように見えます。
第八の壁画
8番目の壁画には半裸の女性がうずくまっています。先ほどの天使はこの女性に鞭をうっていたのです。
この鞭打ちは主人公にとっての様々な困難と解釈できます。
第九の壁画
9番目の壁画は様々な試練を乗り越え儀式を完了した主人公が、祝福されています。
キューピットは鏡をもち、女性の髪は整えられています。
まとめ
秘儀荘/秘儀の間は宗教的な儀式が行われているとされています。壁画には一人の女性が儀式を受け、儀式を終えるまでのストーリーが描かれていたのです。
もしかしたら、この物語は人生を表現しているかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございました。他にもびじゅチューン!に関する記事をまとめていますので、よろしければそちらもご覧ください。
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