びじゅチューン!『再配達には金印を』の元ネタ『漢委奴国王印』を解説

みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回はびじゅチューン!『再配達には金印を』のモデル『漢委奴国王印』を紹介したいと思います。

金印に何が彫られているか、何を意味するのか。そちらを含めて解説していきます。

それではよろしくお願いします。

漢委奴国王印の概要

タイトル漢委奴国王印
作者不詳
制作年不詳
材料/技法金(約95%)、銀(約4.5%)、銅(約0.5%)
寸法縦約2.3×横約2.3×高さ約2.2cm
所蔵福岡市美術館

重量が約108gあり、重めです。寸法は十円玉の直径とほぼ同じサイズです。

金は約95%含まれており、金だけの重量だと102.6gです。(現在の価値だと原材料費だけで70万円以上になります。)(2021年1月7日現在)

印面は少しくぼんでいます。なぜかというと、封泥(ふうでい)と言って、粘土や泥に印鑑を押す作業がしっかりできるように、少しくぼんでいるのではないかと言われています。

封泥の例 引用元サイト名:書道書出版・古美術-アートライフ社
URL:https://www.artlife-sha.co.jp/

封泥を書簡などに押せば、開封をしてしまえば泥が崩れてしまいますので、中身をすり替えるのを防止したり、これは本物であることの証明書として使用されたりします。

びじゅチューン!『再配達には金印を』では、西洋の赤い蝋を溶かして印鑑を押す「封蝋」として使用されていましたね。

印面には何が書かれているの?

書体(フォント)は篆書体(てんしょたい)と呼ばれ、印鑑に一般的に使用されれいるものです。

印面には「漢委奴国王」と書かれています。

日本語で「漢帝国の倭族の国王」と言う意味になります。(諸説あり)

右から漢、委奴(倭)、国王

それぞれ分解して解説しましょう。

「漢」と言うのは中国の歴史上にある王朝のひとつです。

前漢(紀元前206年 – 8年)と後漢(25年 – 220年)の時代があり、それらをまとめて漢王朝としています。

つまり、その時代にこの金印は作られたことが推測されます。

委奴(倭)

委奴(倭)とはつまり日本のことです。日本と言う呼称がつく前、「倭(わ)」あるいは「大倭」と呼称していました。その後奈良時代中期から「倭」は「和」と併用されるようになり、「大和」そして「日本」と名称を変更しました。

国王

倭国の王つまり中国王朝「漢」の時代の日本の王様のことを示しています。これは中国に国王として認められたことを示しています。

漢と倭の関係性

つまり

以上のことから、この金印には「中国(後漢)に所属する倭国の民族の王様」であることを証明するための金印であることが分かります。

だけどなんだか変ですよね。日本が中国(後漢)の下にいるみたいな表記です。

実はこれにはちゃんと理由があります。

金印が表す中国(漢)と日本(倭)の関係

中国が漢(後漢)の時代、日本では弥生時代でしたので、狩猟をする時代から田んぼを耕し始めた時代です。また、銅鐸(どうたく)や銅矛(どうほこ:槍の先端)などの青銅器を使用していました。

銅鐸や銅矛などの青銅器:左が銅鐸、右が銅矛

一方、後漢では、製紙技術や医学、天文学などあらゆる科学技術や学問が発達していました。明らかな技術格差ですよね。

製紙技術の発達により、本がたくさん刊行され、それらが学問の発達につながったとされる。

しかも、稲作や青銅器の技術なども大陸からの輸入したいただきものの技術なので、明らかな実力差があることは明白でした。

そんな国にリーダーとして認めてもらえれば、倭国(日本)の中で、あの人は後漢(中国)に認められたすごい人だ、ということが分かるわけです。

つまり漢が

あなたが支配者だと認めてあげよう。

ということでこの金印を授けられた。と言う経緯があります。

当時では名誉なことだったのかもしれませんね。

『漢委奴国王印』の取っ手は何を意味するのか

蛇があしらわれている理由

印面のほかに印鑑の取っ手には蛇があしらわれています。

これはそれぞれの住む地域を象徴するものになっています。

漢帝国の皇太子や高官には亀、匈奴(きょうど)などの北に住む諸部族には羊や駱駝(らくだ)の印鑑、倭国などを含めた南に住む諸部族には蛇が与えられたのです。

つまり湿気が多い稲作地帯にすむと言われる「蛇」が倭国の象徴として金印に彫られているのです。

(中国の思想で蛇は野蛮な民族の蔑称蛮夷(ばんい)を意味しており、もしかしたらその意味も込めているかもしれません。)

広陵王璽:後漢の皇帝「光武帝」の息子「広陵王」の印鑑。亀があしらわれています。
引用元:日本歴史と雑事記録

まとめ

びじゅチューン!『再配達には金印を』のモデル『漢委奴国王印』は後漢が倭国の王を認めます。と言うことを証明するため受け賜わった印鑑です。

これを所有することで倭国内で、すごい人だと証明できたのかかもしれません。

最後までご覧いただきありがとうございました。

『再配達には金印を』の登場キャラクターや小ネタを記事の下で紹介しています。

他にもびじゅチューン!に関する記事を掲載していますので、ぜひそちらもご覧ください。

『再配達には金印を』の登場人物

度里胃無まや

『便利だわブロードウェイ・ブギウギ』で友達を家に呼んでいましたね。あそこはオートロックのいい感じのマンションだったんですね。

その他『耀変天目ディスコ』ではダンスを披露していました。

バイト先は『人を真似る瓶』の舞台であるフォリー・ベルジェールのバーです。

DJ配達員

便利だわ、ブロードウェイ・ブギウギ』でも度里胃無まやに配達しています。地元が近いのでしょうか。

『鮭ミラーボール』でDJをしています。DJと配達員を兼業しているとても頑張り屋な人です。

下におすすめの動画を掲載しております。そちらもとても勉強になるので、ご覧ください。

おすすめの動画

『漢委奴国王印』を所蔵している福岡市美術館が金印について紹介しています。

YouTubeのほうで後漢や倭国の関係性を詳しく解説した動画がありましたので紹介させていただきます。

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