今回はびじゅチューン!『ひとり縄文会議』のモデル(元ネタ)を紹介したいと思います。
この人(土偶)、かなり苦労人であることをご存知でしたか?
それではよろしくお願いします。
『ひとり縄文会議』の元ネタ・モデル
タイトル | 中空土偶「茅空」 (ちゅうくうどぐう「かっくう」) |
作者 | 不詳 |
制作年 | 縄文時代(3200年前) |
材料/技法 | 土製 |
寸法 | 高さ41.5cm、幅20.1cm、重さ1.745kg |
所蔵 | 市立函館博物館 |
『ひとり縄文会議』のモデルは北海道の函館市から出土した『中空土偶』です。
体全体に刻まれた繊細な模様と、わずか3mmほどの厚さでかなり繊細な作品であることがうかがえます。
出土した南茅部の「茅」と中が空洞であることから「空」を掛け合わせて茅空(かっくう)と言う愛称で呼ばれています。
ではそもそも何のためにつくられたのでしょうか。
土偶が作られる意味
呪術
中空土偶を含めた土偶は呪術的な意味合いが考えられます。
呪術と聞くとトンデモで非科学的な内容ですが、普段皆さんが行われているものと同じことです。
例えば、神社へ行って「一年健康でありますように」とか
「受験が合格しますように」など願掛けすることがありますよね。
そういう風に縄文人も行っていたわけです。
新石器~縄文時代の土偶は女性であった
新石器時代~縄文時代の土偶は、胸やおしりを強調した女性的な像が多いことから、大地の母を信仰するための人形の意味合いが強いです。
これは古代の人々が農耕民族であったからですね。
農作物が多く育ちますようにと豊穣を願っていたわけです。
中空土偶のカックウも例にもれず女性と考えられており(諸説あり)、「北の縄文ヴィーナス」なんて呼ばれたりしています。
そんな彼女は現在は国宝に認定されています。
しかし、そんな彼女、国宝になるまで大変な道のりを歩んでいきました。
カックウが国宝になるまで
最初はジャガイモと間違われていた
中空土偶が発見されたのは昭和50年8月のこと。
ジャガイモ農家が畑を耕していたところ、「カチッ」という奇妙な音がしました。
農家の人はジャガイモだと思い、手で泥を取ってみると、目や口のようなものが出てきてびっくりしたそうです。
それが後の国宝「中空土偶」の発見です。
禁固30年
発見された当初から国宝級だと言われていましたが、当時の発見場所(南茅部町)では重要文化財の展示施設を作ることができませんでした。
中空土偶は町役場の金庫室の、さらに金庫の桐の箱に30年以上も納められていました。
国宝指定へ
そんな苦労をした中空土偶を何とかしてあげたいと思い、土偶の愛称を募集しました。
副賞として地元名産の昆布1年分。
200点以上の応募の中から、愛称が選ばれました。
出土した南茅部の「茅」と中空土偶の「空」を融合させた「茅空(カックウ)」に決まりました。
その後のカックウの活躍はすさまじいもので、発見から32年たった平成19年には重要文化財から、国宝指定へ。
重要文化財から国宝へと出世したのでした。
まとめ
『ひとり縄文会議』のモデル(元ネタ)は中空土偶(カックウ)でした。
彼女は農作物を豊穣するために作られました。
国宝に指定されるまでには人(土偶)一倍苦労人であることが分かります。
『ひとり縄文会議』の登場人物・小ネタ
『ひとり縄文会議』の右下の歌詞係のものは、土偶でしたね。
種類は「遮光器土偶」と呼ばれるものです。
遮光器土偶
遮光器土偶は遮光器をしたような土偶のことです。
遮光器とは昔の寒い地域の人が、雪の反射から目を守るためのスノーゴーグルのようなものです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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