菱田春草の描いた猫たちは柔らかい質感の猫や上品な猫など、様々な猫がいます。
その猫たちを9匹まとめて紹介・解説したいと思います。
それではよろしくお願いします
菱田春草(菱田春草)ってどんな人?
菱田春草は1874年(明治7年)に長野県で誕生しました。
15歳で現在の東京芸術大学に入学し、絵を学んでいます。
岡倉天心と言う画家に才能を見出され、横山大観、下村観山と共に門下生として才能を開花させていきます。
そんな彼の描いた猫9匹を紹介します。
菱田春草の描いた猫たち
白き猫
1901年に描かれた『白き猫』です。
この作品は、後の作品『黒き猫』とは違い、手足もしっかりと描かれています。
猫が可愛いから描くというよりも猫をよく観察しようという菱田春草の気持ちがうかがえますね。
春日
この春日と言う作品は1902年に描かれている作品です。
地面には散った桜が描かれており、春盛りの風景を描いています。
下から緑から黄色にグラデーションしており、その効果で地面であることがより分かりやすくなっています。
1901年の『白き猫』と異なる部分として、毛の表現が挙げられます。
『白き猫』では、筆で一本一本毛が描かれているように見えますが、
この作品では、ぼやっとした表現になっています。
いわゆる線ではっきり描かない『朦朧体(もうろうたい)』と言う絵画技法を使っています。
梅下白猫
この作品は1903年ごろに制作され、福田美術館に所蔵されているものです。
梅の下にいる白猫です。とてもシンプルな構成ですね。
梅の下にうずくまっていますが、そのまなざしは飼われていない野性を感じます。
猫梅
この作品は1906年に制作された作品です。
菱田春草と言えば1910年作『黒き猫』が有名ですが、それの四年前に描かれています。
梅の木の下にたたずんでいるハチワレ猫を描いています。
背中と、しっぽの先の黒がトレードマークですね。
猫がしっかり描きこまれてはいますが、梅の幹などはシンプルに描かれているので、画面を圧迫せず、ハチワレ猫と調和しています。
梅下白猫と構図が似ていますね。
椿に猫
1909年に制作された椿に猫の作品です。
黒猫以前は白地に黒ぶちの猫が菱田春草のお気に入りだったのでしょうか。
猫の描写よりも、椿の描写の方に力が入っているように見えます。
折れてもなお、花を咲かせる椿の木の生命力の強さがうかがえます。
猫の目は相変わらず鋭いですね。
黒き猫
この黒猫は菱田春草といえば、と言う作品ですね。
1910年に制作された『黒き猫』は現在では国の重要文化財に指定されています。
猫の写実的な表現と、背景の装飾的な表現のコントラストがあいまって、調和された画面になっています。
この作品については、別記事で紹介・解説していますので、良ければそちらを参照してください。
柿に猫
1910年に制作された黒猫です。『黒き猫』と同時期のものです。
黒猫ブームが着ているのですかね。
落葉し始めた柿の木からちょうど飛び降りたシーンでしょうか。
黒猫の足元に散らばる木の葉がとても繊細な色合いをしています。
木の葉の一部が枯れていたり、虫食いがあったりと細かいところまで描かれています。
特に注目したいのは、奥に行くにしたがってだんだんと木の葉の色が薄くなっているので、西洋絵画的な立体感があります。
黒猫
こちらの作品も1910年頃に制作されました。
背中を丸めてしっぽを下に下げている黒猫です。
こちらをじっとうかがっていて、警戒や恐怖心が感じ取れます。
柿の木の枝と実だけ描かれており、今にも柿が落ちてきそうな不安感があります。
柿の木の葉や枝は色味がなく、全体的に落ち着いた色彩でまとめており、モダンな印象ですね。
梧桐に猫
1910年に制作された『梧桐(あおぎり)に猫』です。
梧桐の下にたたずむ猫はくつろいでいますね。
後ろ足の肉球がアクセントになって可愛いですね。
梧桐は少しずつ黄色くなり始めており、秋の訪れを感じます。
まだまだ有名な猫います。
美術の世界にはたくさんの名猫たちがいます。
例えば、この黒猫、一体何のために描かれたかご存知ですか?
そして、個人的に『黒き猫』と同じくらい良い猫もいます。
最後までご覧いただき蟻がようございました。
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