びじゅチューン!「竜田川にフタをする」の元ネタ「色絵竜田川文透彫反鉢」

こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。

今回はびじゅちゅーん!の「竜田川(たつたがわ)にフタをする」のモデル(元ネタ)である「色絵龍田川文透彫反鉢」を解説・紹介したいと思います。

それではよろしくお願いいたします。

色絵龍田川文透彫反鉢の概要

色絵竜田川文透彫反鉢(いろえたつたがわもんすかしぼりそりばち)は尾形乾山(おがたけんざん)作の作品です。琳派を代表する尾形乾山は尾形光琳とは兄弟の関係で、乾山が弟です。

江戸時代に作られたと言われ、現在は国の重要文化財に指定され神奈川県にある岡田美術館に所蔵されています。

素地は淡い乳白色のものに丸く張って、口が反り返った反鉢と呼ばれるものです。

岡田美術館の全体展示が見れます。

どんなものがモチーフが描かれているのか

この作品には赤や緑、黄色などの紅葉と裏に波模様が描かれています。秋の豊かな色彩を表現している作品です。

鉢には透かし(穴)があけられており、角度によってさまざまな表情が見て取れ、奥行きのある作品に仕上がっています。

この作品の裏にある波模様は、紅葉が描かれていることから竜田川であることが分かります。これは昔からの和歌から引用されています。

岡田美術館の学芸員さんが解説してくださっています。

歌枕「紅葉と竜田川」について

歌枕(和歌に詠みこんだ名所)である竜田川は様々な作品で詠われています。あの漫画にも使われているあの一句も竜田川が詠われています。

あの漫画に使用されている歌

漫画『ちはやふる』のあのちはやふるは一つの句から来ています。

千早ふる(ちはやふる) 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは

(現代語訳:神のいた大昔にも聞いたことがない、竜田川が紅葉で紅のしぼり染めになるなんて)

『百人一首』在原業平(ありわらのなりひら)
在原業平は、稀代の色男として様々な歌を詠っています。

紅の美しさを竜田川に落ちた紅葉で見事に表現した作品となっています。また同じ百人一首の中に

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり

(現代語訳:山嵐で三室山の紅葉が散り、竜田川は錦織りのような美しさだ)

『百人一首』能因法師(のういんほうし)

と詠まれています。さらに古い作品にも紅葉と竜田川はセットで詠われています。

古い紅葉と竜田川の歌

その古い例が『古今和歌集・秋下』にあります。

竜田河(たつたがわ) もみぢ乱れて 流るめり
わたらば錦(にしき) なかやたえなむ

『古今和歌集 第5巻・秋下』より引用

が挙げられます。つまり

竜田川に紅葉が乱れ散り流れている。

もしわたってしまえばこの錦の帯はちぎれてしまうだろう

と言っています。

竜田川に流れる紅葉のさまを帯にたとえている面白さ、儚さ、それゆえの美しさを見事に表現した歌です。

乾山はそれらの美しさを作品に込めたと思うと、作品の奥行きが一層深まります。

その他

乾山は反鉢の他にも

色絵竜田川図向付(けんざんいろえたつたがわずむこうづけ)と言われる紅葉と竜田川をモチーフとした別の作品もあります。ここでは割愛させていただきますが、文化遺産オンラインで画像や解説があります。

その他「紅葉と竜田川」のセットは歌川広重作『六十余州名所図会・大和 立田山 龍田川』にも描かれています。

まとめ

今回は作品に加えモチーフの解説や関連する作品を紹介しました。

作品のモチーフを知るとより深く作品を知ることができますね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

びじゅチューン!「竜田川にフタをする」

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