こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。
今回はエンカウスティック(エンカウスティーク)について紹介したいと思います。かなりマニアックな内容なのでこのページに辿り着いた方は堪能な知識をお持ちですね。
できるだけわかりやすく紹介させていただきます。
さてこの技法ですが、実はある画材が用いられていることをご存知でしょうか。
ポンペイの壁画を紹介しながらエンカウスティックの世界を見ていきましょう。
それではよろしくお願いします。
火を灯すあれが使われている
エンカウスティックは火を灯すときに使われるろうそくが使われています。
正しく言えば熱く熱して溶かした蜜ろうと顔料を混ぜたもので描く絵画技法、または蜜蝋で描かれた蝋画のこともエンカウスティックと呼びます。
古典絵画の最も代表的な技術(技法)と言えるでしょう。
しかしこの技法は中世以降ほとんど使われることのなくなった技法で、限定された地域の限定された人に伝承されたもの以外はほとんど使われていませんでした。
エンカウスティックの歴史
エンカウスティックの起源は定かではありませんが、起源前33年~23年に書かれた書物からエンカウスティックの成り立ちと言われる方法が発見されました。
2世紀前半のエジプトでもエンカウスティックが残されたいます。
棺のふたに描かれた肖像で、これは棺の中に入っていた女性の生前の姿だと言われています。
しかし、この技法の実態はつかめず、今日のエンカウスティックと言えば18・19世紀に再興された技法のことです。
これらが再興されるにはある発見がありました。
エンカウスティックの発見
18世紀後半に、フランスのブルボン王家が古の都ポンペイを発掘するとポンペイの家々にエンカウスティックで描かれた壁画が発見されました。
それがきっかけでこの技法を再現しようという試みが数多く行われるようになります。
そのため、エンカウスティックは13世紀までの古代の技術であると同時に18世紀のフランス絵画技法となりました。
エンカウスティックの描き方
エンカウスティックの大まかな描き方として1755年に出版された『Mémoire Sur La Peinture À l’Encaustique Et Sur La Peinture À La Cireーエンカウスティックと蝋画に関する論文』の一部を紹介します。
- 蜜蝋を湯煎しながら溶かす。
- べニア板に蜜蝋を刷毛塗りをしておく。(熱い蜜蝋を板に使うと板に収縮や狂いが出るため)手順3から絵具の作り方に入る。
- 溶かした蜜蝋に顔料を加え、あらかじめ温めておいた大理石の上でよく混ぜ合わせる。
- これをガラス製(陶器製)の板に開けていったん冷却する。
- 使用するときには固まった色付き蝋を小分けにして小鍋にとり、再湯煎する。
エンカウスティックの関連ギャラリー
ポンペイの壁画
ポンペイの家々に描かれたエンカウスティックがあります。その他にもフレスコ画も発見されています。
まとめ
謎多きエンカウスティックの世界いかがでしたでしょうか。紀元前から使われてきた技法が発見され、18世紀で再興される。何とも数奇な運命を持っているエンカウスティック。
もしかしたらまだ見つかっていない技術が眠っているかもしれませんね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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