びじゅチューン!『私たちが削るべきは床』の元ネタ『床削り』を解説

びじゅチューン!『私たちが削るべきは床』の元ネタ・モデル『床削り』を解説・紹介

みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回はびじゅチューン!『私たちが削るべきは床』のモデル『床削り』を紹介したいと思います。

この作品には実は二枚あることをご存知でしたか?

そこのところを解明しながら『床削り』を紹介します。それではよろしくお願いします。

『床削り』の概要

タイトル床削り(ゆかけずり)
作者ギュスターヴ・カイユボット(グフタス・カイユボット)
制作年1875年
材料/技法カンヴァスに油彩
寸法102 cm × 147 cm
所蔵オルセー美術館、フランス・パリ

この作品はフランスの画家・ギュスターヴ・カイユボットによって製作された作品です。

ギュスターヴ・カイユボット

床の線が遠近法をより強調して、立体的かつ写実的な表現をしています。まるで写真のような絵です。

しかし、パリの一大展覧会「サロン・ド・パリ」に提出されましたがあえなく落選。どうして落選してしまったのでしょうか。

『床削り』のモチーフ

この作品は、お金持ちの邸宅の床を仕上げるため、鉋で削っている労働者を描いています。

1975年のサロン・ド・パリに提出されましたが、落選をしてしまいました。

落選理由は「低俗な画題」とされたためです。

当時はジャン=フランソワ・ミレーが『落穂拾い』で農民を描いたり、ギュスターヴ・クールベが『石割り人夫』で田舎の労働者を描いた作品はありました。そしれそれらには、社会的・倫理的・政治的メッセージがあったのです。

ジャン=フランソワ・ミレー作『落穂拾い』

しかし『床削り』は、それら一切を排除し、労働者の動きや道具などを冷静にかつ写実的に描いています。

また都市の労働者を描いた作品は新鮮(当時で言えばルールから外れた作品)であったため展覧会での落選につながったのでしょう。またその写実的すぎる点からも批評されました。

この作品は全体的に厳しい批判がありましたが、一部の美術評論家:ルイ・エドモン・デュランティが、カイユボットの写実的かつ都市の風俗を描くことを絶賛しました。

ルイ・エドモン・デュランティ:作家、美術評論家。画家マネと決闘したことがあります。

もう一枚の『床削り』

「私たちが削るべきは床」のモデルとなったのは1875年に制作された『床削り』ですが

1875年の『床削り』

1年後の1876年、違う視点で描かれたバージョンの『床削り』が制作されました。

1876年の『床削り』

この作品は1876年の第二回印象派展(サロン・ド・パリで落選した作品を展示する落選展)で2点の『床削り』のほか、『ピアノを弾く若い男』と『窓辺の若い男』とともに展覧しました。

ギュスターヴ・カイユボット作『ピアノを弾く若い男』
ギュスターヴ・カイユボット作『窓辺の若い男』

まとめ

都市労働者を描いた作品『床削り』は、その斬新なモチーフと写実的な絵で当時の人に衝撃を与えたことでしょう。

床を削る鉋、右端にある瓶の透明感はカイユボットの画家の技量がよくわかります。床の切りくずまで描かれておりまるでカツオ節のようですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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