みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回はびじゅチューン!『ダンス寿司』のモデル(元ネタ)の『ダンスⅡ(2)』を紹介したいと思います。
作者は誰?モチーフは何?一体何がすごいの?などの疑問を解消していこうと思います。
それではよろしくお願いします。
ダンスⅡ(2)の概要
タイトル | ダンスⅡ |
作者 | アンリ・マティス |
制作年 | 1910年 |
材料/技法 | キャンバスに油彩 |
寸法 | 260cm×391cm |
所蔵 | エルミタージュ美術館 |
『ダンスⅡ』は20世紀を代表するフランスの画家アンリ・マティスによって描かれた油彩画です。
『ダンスⅡ』の他にも後年には「JAZZ」という版画集も出版しています。
サイズは高さ2メートル60センチ、横幅3メートル91センチの巨大な絵です。青、緑、オレンジ、黒の4色に限定された画面はインパクトがあります。
パトロンであるロシアの大富豪セルゲイ・シチューキンに依頼されて『ダンスⅡ』は描かれました。
『ダンスⅡ』なら『ダンスⅠ』はあるの?と疑問に思われるかもしれません。
はい、あります。『ダンスⅠ』についても紹介しましょう。
『ダンスⅠ』
タイトル | ダンスⅠ |
作者 | アンリ・マティス |
制作年 | 1909年 |
材料/技法 | キャンバスに油彩 |
寸法 | 260cm × 390 cm |
所蔵 | ニューヨーク近代美術館 |
『ダンスⅠ』はアンリ・マティスがパトロンであるセルゲイ・シチューキンに依頼され、構図や色彩研究のため、試しに発表したいわば『ダンスⅡ』の試作品と言えます。
『ダンスⅡ』と比べると、『ダンスⅠ』の人々の色味がピンク色、構図が整理されているように感じます。
一方『ダンスⅡ』の場合、人々の肌の色がオレンジ色となり、人々は画面ぎりぎりまで広がっています。このことにより、より躍動感が感じられます。
また、背景の青色がより強い補色の関係に緊迫感のある作品になっています。
実はこの『ダンス』と対の関係にある作品をご存知ですか。
『ダンスⅡ』と対の作品『音楽』
タイトル | 音楽 |
作者 | アンリ・マティス |
制作年 | 1910年 |
材料/技法 | キャンバスに油彩 |
寸法 | 260cm×389cm |
所蔵 | エルミタージュ美術館 |
この作品は『ダンスⅡ』が完成し、セルゲイ・シチューキンに渡された後、アンリ・マティス自身が対として制作を願い出たものです。
『音楽』は『ダンス』と比べると様々な共通点が見られます。
青・緑・オレンジ・黒の4色を使用している点や、簡略化された構図、5人の人物が描かれている点です。
また、異なる点として、性別の違いが挙げられます。『ダンスⅡ』では胸の乳房の膨らみから女性であることがうかがえます。
一方『音楽』に直接的には描かれてはいませんが、男性器が画面左から二番目の笛を吹く人にそれを思わせる表現がなされています。
これらの性差は二つが対であることをより強調しているようにみえます。
『ダンスⅡ』結局何がすごいの
この作品がすごい理由はあるモノの発明が関係します。
古典的な絵を見ると、実物のような作品が多く存在していました。
なぜかというと、目に見えたものを保存する役割が絵に求められていたからです。
アンリ・マティスのいる時代にはもうその役割は失われました。そう、今私たちが持っているカメラが開発されたからです。
絵画の役割が無くなると、逆に絵画にしかできない表現を求められるようになりました。これを行ったのが、マティスを代表する画家たちなのです。
目で見えるものではなく心で感じた形・色彩を描くことで写真では決して移すことのできない世界を描くことをしました。
『ダンスⅡ』が完成した時、マティスは
画家はもはや細部にこだわる必要はありません。写真は、絵よりも細部を100倍良く、より早く映し出すためです。(『ダンスⅡ』では)柔軟な形は、可能な限り直接的に、そして最も簡単な方法で感情を表現します。
アンリ・マティス
つまり、単純な構図、原色に近い色彩は絵にしかできない表現がなされているためです。
その革新的な点で『ダンスⅡ』は評価されています。だから、すごいんですね。
まとめ
『ダンスⅡ』はアンリ・マティスの作品であり、対となる作品『音楽』があります。
単純に省略された構図、原色に近い鮮やかな色彩は絵にしかできない表現であり、その革新性は絵の存在意義を見出しました。
その点でこのダンスⅡはすごい絵と言えるでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。他にもびじゅチューン!に関係する記事を掲載しております。ぜひそちらもご覧ください。また記事の付録として『ダンス寿司』の小ネタを集めてみました。
『ダンス寿司』の小ネタ
井上涼さんの作品の特徴として他の作品で出てきたキャラクターが登場するということがあります。『ダンス寿司』にも様々なキャラクターが登場しています。
『ダンス寿司』の客席にいる人は?
『ダンス寿司』の客席には『お局のモナ・リザさん』のモナ・リザさんと同じ株式会社ジョコンダに努めている社員たちです。
とげとげの男性社員
『地元が快楽の園』では彼女の地元である快楽の園へ行っていますね。
もこもこの女性社員
まず『お局のモナ・リザ』さんでは最後に傘を貰っていました。
『月曜日モンスター』でも登場しています。また『アルルの訳あり物件』で最後に一瞬モナ・リザさんと一緒に登場します。
『写楽式洗顔』でも一瞬ですが、眼鏡をかけた女性社員と映っています。
『ムンクの叫びラーメン』ではモナ・リザさんと一緒にラーメンを食べています。
茶色のボブの女性社員
『ダンス寿司』の他、『陽変天目ディスコ』でモナ・リザさんと一緒に踊っています。様々な葛藤が見られますね。
黄色のショートカットの女性社員
『アルルの訳あり物件』で物件を探していましたね。その後『ひまわりがお掃除しちゃうわよ』で登場していました。若干髪の毛が伸びているのがポイントですね。
『ツボのつぼマッサージ』でもツボのお客さんとして登場しています。
『何にでも牛乳を注ぐ女』でも、もこもこの女性社員の方と登場しています。
ベテラン調理師のおばちゃん
また、『何にでも牛乳を注ぐ女』で牛乳を注ぐ女とバトルしたベテラン調理師のおばちゃんも登場しています。
『立体曼荼羅マスゲーム』でも私生活が垣間見えました。
『ダンス寿司』の右下の人
ダンス寿司の右下でテロップを入れている人は察しの良い方はご存知かと思いますが、ダンス寿司の元ネタ『ダンスⅡ』の作者アンリ・マティスです。
晩年のアンリ・マティスをモデルにしているのでしょう。
しかしここで疑問が出ます。アンリ・マティスは画家なのになんでハサミでテロップを切っているのでしょうか。
実はマティスは画家からだんだんと紙を切って切り絵の作品を制作していたからなんです。こういう細かいところからも井上涼さんのこだわりを感じます。
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