顔料とはいったい何?絵具に使われる顔料の種類と染料の違いを紹介

顔料とは。絵具に使われる顔料の種類と染料の違いを紹介

こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。

絵を描いていて絵具を買おうとすると「単一顔料のみを使った~」や「顔料にこだわった」などのうたい文句が広告で見られてます。

それをみて「顔料とは一体なんだ」と思う方もいるかもしれません。

そこで今回は顔料とは何?について紹介していきたいと思います。

顔料とは何だろうと思う方、具体的にどんな種類の顔料があるのかという疑問を持つ方におすすめの記事です。

顔料とは?のほかにも染料との違いは?ということにも触れていこうと思います。

それではよろしくお願いします。

顔料とは○○でできている

顔料とは色のついた粉末のことです。そこに接着剤となる膠や油、樹脂を混ぜることで絵具となります。例えば樹脂を混ぜた場合アクリル絵具となります。

顔料の中にはラピスラズリや孔雀石などの宝石を使ったものもあり、西洋や日本問わず使用されています。

尾形光琳の『燕子花図屏風』に描かれている燕子花の葉の部分も孔雀石を粉砕した顔料で描かれています。

尾形光琳作『燕子花図屏風』

他にも様々なものが顔料になっています。

顔料の種類

顔料は無機顔料と有機顔料というものに分けられます。さらに無機顔料には天然顔料と合成顔料があります。

無機顔料

天然無機顔料は、自然から採れる宝石や石、土などを粉砕して顔料にしたものです。その中に鉱物から採る鉱物性顔料、土から採る土性顔料があります。

天然無機顔料の例として黄土、赤土、緑土(土性顔料)。孔雀石、ラピスラズリ、黒鉛(鉱物性顔料)が挙げられます。

孔雀石原石:青い部分はマラカイト

合成無機顔料とは、天然からは採れない色の顔料を人工的に作り出した無機顔料のことを言います。

合成無機顔料には金属の錆や、金属を加工したもの、煤などがあります。

例として鉛白、亜鉛華、ビリジャン、コバルトブルー、アイボリーブラックなどが挙げられます。

鉛白:鉛を錆びさせて出てきた白い粉を顔料として使用する

有機顔料

有機顔料は合成で作られた顔料です。金属分と(天然、合成)染料を混ぜて加工したものが有機顔料として作られました。

例としてアリザリンレーキやフタロシアニンブルーなどが挙げられます。

有機顔料は19世紀に急速に発展し、無機顔料と比べると色調が豊富で鮮やかです。また、無機顔料の一部から体に害のあるものがありますが、有機顔料には危険性のあるものは(今現在)ありません。

顔料の種類(無機と有機、天然と合成)

今後の発達が期待される顔料です。

ここで染料という単語がでてきました。

顔料も染料どちらも、ものに色を付けるものであることは変わりがありません。

では何が違うのでしょうか。

顔料と染料の違い

顔料と染料は分子の大きさが違い、色を付ける場所が違います。

顔料の場合、色の粒子が大きく、ものの表面を覆い隠すように色を付けます。

一方で染料の場合、色の粒子が小さく、ものの中に浸透して色を付けます(ものを染める)。服や紙などの繊維があるものを染めるときに染料は使われます。

藍染めされた布地

染料には植物や藍(藍染めなどで)、西洋茜の根から採れるアリザリン、コチニールカイガラムシから採れるコチニールなどがあります。

顔料と染料の違い:左が顔料。右が染料

顔料・染料の歴史

顔料の歴史は人類の歴史といっても過言ではありません。

最も古い歴史を持つのは天然の鉱物からできた天然無機顔料です。

世界最古の壁画『ラスコー壁画』にも使用されています。

ラスコーの洞窟内部

しかし、天然のものだと供給が安定していなかったり、貴重なものがあったり、色の種類が少ないなどのこともあり、思うように絵が描けませんでした。

例えばウルトラマリンと呼ばれる顔料があります。

ラピスラズリの原石

これは貴重な石ラピスラズリを使用して作られた顔料で、金と同じ価値があると言われた顔料です。そのため、宮廷画家たちは見積もりを宮廷に渡してからウルトラマリンを使用していたと言われています。

フェルメールもウルトラマリンをよく使いましたが、その背景には裕福な義母の存在がありました。

フェルメール作『真珠の耳飾りの少女』:青いターバンにウルトラマリンが使用されている。

そのため、安価で大量に、安定して入手できる顔料が必要でした。

合成顔料の発展

最初期の合成顔料として、鉛を酢に晒して生成した鉛白がありました。

18世紀の半ばに産業革命が起こり、合成顔料の種類は大きく発達していきました。特にウルトラマリンに代わる青の顔料を開発することが命題でした。

1704年、初めての合成顔料の青「紺青」を皮切りに、19世紀初めには合成ウルトラマリン、セルリアンブルー、コバルトブルーなど数々の青が誕生しました。

合成ウルトラマリン:純度が高く、青々としています。

20世紀には合成有機顔料のフタロブルーが誕生しました。

合成有機顔料は染料の増加にあいまって、鮮やかで多様な色彩を生み出し、私たちの生活を彩りました。

まとめ

顔料は鉱物などの天然のものから、人工的に作り出したもの、そして染料を使った有機顔料があること。これらすべては人の色を追い求めた歴史であることがわかります。

顔料を知ることは人の歴史を知ることであると言えるのではないでしょうか。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

下の記事では絵具に使われている素材についてまとめています。

もし気になる顔料の素材があればこちらを見てくださいね。

2件のコメント

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coeniwashita より:

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