ジョットの師匠?チマブーエの解説と作品

チマブーエ

こんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。

今回は、チマブーエについて紹介します。チマブーエって誰?という方にお勧めできる記事です。

それではよろしくお願いします。

チマブーエって誰?

13世紀末イタリアのゴシック絵画を代表する画家と言われています。

チマブーエと聞いてもピンとこない方も多いと思いますが、ジョットの師匠だと言われている画家です。

彼は1240年~から1250年の間にフィレンツェで生まれ、1302年から1303年にピサで死亡したと推測されています。

師匠はビザンチン美術を学んだ芸術家であると言われています。

彼に関する資料は非常に少なく、その中で有名なのはヴァザーリの著書『芸術家列伝』です。その最初にチマブーエは掲載されています。

また、ダンテの『神曲』では「絵画の世界の覇者」と謳い絶賛しています。(弟子のジョットに関しては大絶賛しています。)

このことから、イタリア絵画を語る上では欠かせない存在であると言われています。

チマブーエの作品

チマブーエの現存する作品は非常に少ないですが、どれも豪華なものばかりです。今回は現存するものとチマブーエ作とされているものを紹介したいと思います。

1272年頃、チマブーエはローマに滞在し、教会のために十字架の絵を描きました。

チマブーエ作『十字架のキリスト』

初期の作品と言われる『十字架のキリスト』は、板にテンペラ絵具で描かれました。フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂に所蔵されています。

1966年フィレンツェの街を襲った大洪水により色がはげ落ちてしまいました。その後長期間をかけて修復されました。

左右対称の構成、黄金の背景、人物がイラストのようで平面的な描き方をされています。

これらの特徴はチマブーエの特徴といってもよいでしょう。

また、『壮厳な聖母』でもチマブーエの特徴である黄金の背景、図式的でイラストのような人物、左右対称な構図が見られます。

この作品はチマブーエの作品を特定するための基準作になっています。

チマブーエ作『壮厳の聖母』1279-1280年頃

最近ではフランスの住宅でチマブーエの作品とされる『嘲笑われるキリスト』が見つかったとニュースに取り上げられました。

チマブーエ作『嘲笑われるキリスト』

この作品にもチマブーエの特徴が見受けられています。

(ちなみに2019年にオークションで2400万ユーロ(約29億円)で落札されたらしいです。)

台所から29億円の「失われた」絵画 驚くべき発見の経緯

その他の作品を一挙に紹介します。

チマブーエ作『二人の天使と聖母子』1280年頃
チマブーエ作『マエスタ』
チマブーエ作『聖母子』

何とも言えない無表情な顔をしていますが、これらはチマブーエだけではなく、この時代の絵は無表情な絵が多いです。

もともと宗教画は修道士たちが修行の一環として描いていたもので、昔からの同じ構図を繰り返しコピーし、模写していました。

日本でいうところの写経に近いものです。

チマブーエ作『最後の晩餐』

まとめ

謎が多いが、イタリア絵画を学ぶ上では外すことのできない黄金背景の画家チマブーエを紹介しました。

この後弟子のジョットやフィリッポ・リッピ、ボッティチェリなどのイタリアを代表する画家たちが続きます。

最後まで読んでくださりありがとうございました。