びじゅチューン!『アルルの訳あり物件』の元ネタ『アルルの寝室』を解説

みなさんこんにちは、岩下 幸圓(イワシタ コウエン)です。今回はびじゅチューン!『アルルの訳あり物件』のモデル『アルルの寝室』を紹介したいと思います。

アルルの寝室で起きた悲劇とは一体何でしょうか。

それではよろしくお願いします。

『アルルの訳あり物件』のモデル『アルルの寝室』の概要

タイトルアルルの寝室
作者フィンセント・ファン・ゴッホ
制作年1888~1889年
材料/技法キャンバスに油彩
寸法縦72×横90センチ
所蔵ゴッホ美術館

『アルルの寝室』は『ヒマワリ』で有名な印象派の代表的な画家フィンセント・ファン・ゴッホによって描かれました。

『アルルの寝室』の他『ファン・ゴッホの寝室』や『ゴッホの寝室』などとも表記されます。

ではその物件を見ていきましょう。

『アルルの訳あり物件』を見る

『アルルの訳あり物件』はフランス・アルルの地にあります。

アルル郊外は自然が豊かで、木々が生い茂り、川が流れています。

ゴッホ作『アルルの跳ね橋』

少し街の方に行くと、黄色い家が見えてきました。

外観

ここが訳あり物件のある『黄色い家』です。

ゴッホ作『黄色い家』

外観は黄色・窓と扉は緑で塗られていて、住んでいるとなんだかワクワクしそうになります。

近くにはカフェテラスもあり、夜も営業しています。

ゴッホ作『夜のカフェテラス』

では黄色い家の中に入ってみましょう。

『黄色い家』の間取り図

間取り図

黄色い家は2階建て。1階にはリビングとキッチン、2階には部屋が4つあります。

黄色い家の『間取り図』:Yellow House floor plan-1922 Leon Ramserを参考に筆者が作成

『アルルの訳あり物件』と呼ばれるのは①の部屋です。

カラフルな内装で、沢山の絵が飾られていたりとクリエイションを刺激しますね。

前の住人であったゴッホは特に椅子がお気に入りのようで、椅子単体の絵も描いています。

一見明るくて何もないような物件ですが、実はゴッホはここである事件を起こしてしまいました。

では、ゴッホの部屋で一体何が起きたのでしょうか。

『アルルの訳あり物件』の理由

ゴーギャンとの出会い

アルルで起きた事件にはある一人の画家がいます。

その画家の名前はポール・ゴーギャン。

ポール・ゴーギャン

ゴッホと同じ時代を生きた画家です。

ゴッホがゴーギャンの展覧会を見て一目惚れ。彼と一緒にこのアルルの地で共同生活を送ることを志望しました。

共同生活に期待を膨らませる

ゴッホの強烈な要望に押されてゴーギャンは共同生活をするようになります。

黄色い家の間取り図:②にゴーギャンが住んでいたと考えられます。

ゴーギャンとの共同生活をし始めたゴッホは、ある一枚の絵をかきます。それが『アルルの寝室』です。

『アルルの寝室』の左側のドアはゴーギャンが住む部屋に続いると言われています。

ゴーギャンとの共同生活は個性が強烈で互いに刺激をしあった日々でした。

ゴッホとゴーギャンは競うように絵を描き、『赤い葡萄畑』などの作品を描きました。

ゴッホ作『赤い葡萄畑』:ゴッホが生前売れた唯一の作品

しかしそんな生活は次第に破綻していきました。

ゴーギャンが描いたゴッホ:ヒマワリを描いている様子です。

ゴーギャンとの別れ。そして、

ゴーギャンとゴッホの共同生活は2カ月ほどで終わってしまいます。

二人の絵に対するこだわりや、価値観の違い、またゴッホの散財に対する不満もあったと言われています。

ある時、何を思ったのかゴッホは耳を切り落としてしまいます。

(彼が耳を切り落としたのには様々な通説がありますが、ここでは割愛)

耳を切り落とした後の自画像

しかも近所の女性にその耳の一部を送り付けるという奇行も行いました。

この行動は地元の新聞にも取り上げられ、大きなニュースになりました。

この事件の翌朝、ゴッホは精神異常者として精神病院へ収容されました。

その数日後、ゴーギャンはアルルの地を去っていきます。

このような一連の事件があるため『アルルの訳あり物件』と言われたわけですね。

実は『アルルの寝室』は一枚じゃなかった

下描き

実はの作品は下描きとして、ゴッホがテオに送った手紙にありました。

ほとんどの構図がこの時点で決まっていることがうかがえます。

1枚目

1枚目は1888年10月の中旬に最初の『アルルの寝室』を仕上げました。これが冒頭で紹介した作品です。

2枚目

1枚目はゴッホが一度精神病院に収容されたときに、家で放置されていた作品が湿気で損傷してしまいました。そのため2枚目はそのリメイクとして制作されました。1889年9月5日に描かれました。

大きさは縦72×横90センチと1枚目と同じサイズです。

3枚目

2枚目が完成したのち、同年の9月28日、1枚目、2枚目よりも小さいバージョンを描きました。

これは、母や妹に送るために描いたとされています。

大きさは57.5 x 74センチです。

まとめ

『アルルの訳あり物件』のモデルである『アルルの寝室』は、ゴッホの作品であり、そこで起きた耳切り事件が発端になり、ゴーギャンとも別れてしまいました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事の下では『アルルの訳あり物件』に登場したキャラクターや小ネタを紹介しています。そちらも合わせてご覧ください。

『アルルの訳あり物件』の登場人物・小ネタ

登場人物

ジョコンダに務めるショートカットの女性社員

彼女は『アルルの訳あり物件』で物件を探し、『ひまわりがお掃除しちゃうわよ』でヒマワリに掃除してもらっています。

『つぼのツボマッサージ師』では日々の疲れをいやしてもらっていました。

『ダンス寿司』では仲よく同僚の人とお寿司を食べていましたね。

不動産会社のお兄さん

『アルルの訳あり物件』のほかには、『私たちが削るべきは床』で不動産会社「鳥の家さがし」で働いていることが分かりました。

右下の女性

右下の女性は、ゴッホの作品『アルルの女』がモチーフではないかと考えられます。

ゴッホ作『アルルの女(ジヌー婦人)』

後半では正面を向くようになりますが、これは『アルルの婦人』の他のバージョンの1つをモチーフに選んだのではないかと考えられます。

その他

その他には、ゴッホやゴーギャンなども登場しましたが、ゴーギャンのイラストの元になったのはゴーギャンの自画像ではないかと考えられます。

ゴーギャンの自画像

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